検索して探す

更新日
2025-08-25

ロイヤリティプログラムとは?種類や導入のメリット・デメリットを解説

STORES マガジン編集部
ロイヤリティプログラムとは?種類や導入のメリット・デメリットを解説

ロイヤリティプログラムは、既存顧客との関係を深めることで、リピートや売上の向上につながる施策です。

この記事では、ロイヤリティプログラムの基礎知識から種類別の特徴、導入によるメリット・デメリット、成功のポイントまでをわかりやすく解説します。

ロイヤリティプログラムとは|目的と定義

ロイヤリティプログラムとは、購入金額や利用頻度が高い優良顧客に対して特別な特典を付与するマーケティング施策です。お客さまに自社の商品・サービスを繰り返し利用してもらうことで長期的な関係を築き、リピート率や顧客生涯価値の向上を目指します。

典型的な例として、購入額に応じてポイントが貯まりクーポンなどと交換できるポイントカード制度や、特定ランクの会員限定の割引・無料サービスといったプログラムが挙げられます。

ロイヤリティプログラムを通じて愛着心を高め、競合他社へお客さまが流出しにくい状態を作り出すことが目的です。また、ロイヤリティプログラムは顧客維持戦略の一環でもあり、既存顧客の満足度を高めて自社のファンになってもらう取り組みともいえます。

顧客ロイヤリティとの違い

顧客ロイヤリティとは、お客さまが企業やその商品などに対して抱く愛着心や信頼感のことです。ロイヤリティが高いお客さまは、価格が高くても同じブランドの商品を買い続け、逆に低い場合はその時々で他社に乗り換えてしまいます。

ロイヤリティプログラムは、顧客ロイヤリティを高めるための施策であり、忠誠心を育成・強化する手段です。つまり、顧客ロイヤリティは、企業やブランドに対する心理的な忠誠心の度合いを指し、ロイヤリティプログラムはそれを高めるための具体的な取り組みです。

ロイヤリティの指標になるNPSとは

顧客ロイヤリティを定量的に測定する代表的な指標として、NPS(ネットプロモータースコア)があります。NPSは「自社の商品・サービスを他人に薦めたいと思うか」をアンケートで数値化するもので、顧客のブランドに対する愛着度や推奨意向を示す指標です。

この数値を定期的に追い、ロイヤリティプログラムの効果検証や顧客満足度との比較を行います。近年では、従業員のエンゲージメント測定にも応用されています。

ロイヤリティプログラムの主な種類

優良顧客を育成するロイヤリティプログラムには、さまざまな種類や手法があります。ブランドの業種や顧客層によって適したプログラムは異なるため、自社の目的に合った方法を選びましょう。

以下では、代表的な6種類のロイヤリティプログラムを紹介します。

①価値共創型

企業とお客さまが価値を共創していくタイプのプログラムです。例えば、環境配慮を掲げるブランドが会員向けに洋服のリペアサービスや、リサイクル回収サービスを提供するケースが該当します。

お客さまは商品やサービスを利用しながらブランドの理念に共感し、一体感を得られるでしょう。企業側はお客さまと共にブランド価値を高められるため、ファンコミュニティの形成やロイヤリティの強化につながります。

②パーパス拡張型

パーパス(企業の存在意義)を軸に、お客さまとの関係性を深めるプログラムです。購入額や来店回数に応じた特典提供に加え、メルマガの登録や公式SNSのフォローなど、購買以外の行動でもお客さまとの関係が深まることが特徴です。

こうした参加体験を通じて、お客さまはブランドの価値観に共感し、自発的に関与を深めていきます。企業側は、パーパスの浸透を図ると同時に、LTV(顧客生涯価値)の高いファン層の獲得・育成につなげられるでしょう。

③経済圏拡張型

口コミ投稿やSNSのリポストなど、購買行動以外のエンゲージメントを促す行動に、ポイントや特典を与えるプログラムです。お客さまは購入時以外もブランドと接点を持つため、商品を使わない期間でもブランドを忘れにくくなります。

次回の購入時にも自社商品が選択肢に残りやすくなり、継続利用やリピート購入の促進につながります。

④経済圏連携型

他企業との提携によって、お互いの顧客基盤を活用するプログラムです。具体例として、自社のポイントを他社のギフトカードやサービス券と交換できる取り組みがあります。

複数ブランドの経済圏を連携させることで、普段は他社サービスを利用している層も自社の顧客として取り込むことが可能です。提携各社のメリットにもなるため、ブランド間でお互いのファンを増やし合える相乗効果が生まれます。

⑤シンプルティア・ノーティア・ノーポイント型

会員ランクやポイント制を設けず、シンプルな構造にしたプログラムです。プログラム参加者全員に一律の特典を最初から付与し、気軽に参加できる点が特徴です。ハードルが低いため幅広い顧客層を取り込みやすく、多くの会員獲得が見込めます。

ただし、一見ランクやポイントが無いように見える場合でも、裏側では購買履歴に応じた個別対応が行われ、さりげなくロイヤルティを高めているケースもあります。

⑥パーソナライゼーション型

会員一人ひとりの嗜好に合わせて、個別に最適化されたサービスを提供するプログラムです。過去の閲覧履歴や購入履歴を分析し、会員ごとにおすすめ商品を提示したり、特別なクーポンを送ったりします。

お客さまごとの嗜好に沿った提案が可能になることで、アップセル(上位商品への誘導)やクロスセル(関連商品購入)が促進され、売上の向上も期待できるでしょう。

ロイヤリティプログラム導入のメリット

ロイヤリティプログラムは、ただの販促施策ではありません。顧客維持率やリピート率の向上、広告費の削減など、経営面でも効果を発揮します。ここからは、プログラムを導入することで得られる代表的なメリットを解説します。

顧客のリピート率やLTVの上昇

ロイヤリティプログラムの導入は、お客さまの再来店や継続購入を促す有効な手段です。特典やポイントの付与によって利用意欲が高まり、自然と再購入につながりやすくなることで、リピート率の上昇と顧客離脱の防止が期待できます。

また、継続的な関係の中で購買金額や頻度が増加し、顧客生涯価値の向上にもつながります。実際に、ロイヤリティプログラム導入により平均注文数量が319%増加し、LTVが306%向上するという研究結果が報告されています。

出典:Zinrelo「知っておくべきブランドロイヤルティと顧客特典プログラムの統計」(2025年7月)

エンゲージメントの上昇

エンゲージメントは、お客さまと企業の結びつきによって起こる「行動」の強さを示す概念です。ロイヤリティプログラムによってお客さまの愛着心が高まれば、自社からの情報発信に対する関心も強まり、結果としてエンゲージメントが向上します。

実際、顧客エンゲージメントに投資した企業は、平均でROI(投資収益率)が29%向上したとのデータがあります。エンゲージメントの高い顧客を増やすことは、長期的な売上やブランド価値の向上に貢献する戦略です。

出典:AI Marketing Engineers「ブランドキャンペーンとロイヤルティプログラムはどのように顧客維持率を高めることができるのでしょうか?」(2025年7月)

集客コストの削減

新規顧客の獲得には、「1:5の法則」というのがあり、既存顧客の維持に比べて約5倍のコストがかかるとされています。ロイヤリティプログラムの活用による顧客維持は、費用対効果の高い戦略です。

米国Bain & Companyの調査でも、顧客維持率を5%高めるだけで利益が25〜95%向上すると報告されています。優良顧客を囲い込み、離脱を防ぐことで、広告費を抑えながら安定的に売上と収益性を向上させることが可能です。

出典:FasterCapital「顧客ロイヤルティプログラム:CACへの影響」(2025年7月)

口コミによる新たなお客さまの獲得

ロイヤリティプログラムで愛着を持ったお客さまは、満足体験をもとに自発的に口コミを広めてくれる可能性が高まります。92%の消費者が家族や友人の推薦を信頼しており、紹介経由の購入率は通常の購入経路に比べて4倍というデータもあります。

企業発信よりも信頼される口コミによって、新たな顧客層を獲得しやすくなる点は、ロイヤリティプログラムの強みといえるでしょう。

出典:SaaSquatch「2019年のロイヤルティマーケティングに関する重要な統計」(2025年7月)

来店・購入時のポイントをデジタル管理
STORES ロイヤリティ

顧客体験の最適化に欠かせない機能をワンストップで提供
STORES ブランドアプリ

ロイヤリティプログラム導入時のデメリット

ロイヤリティプログラムの導入・運用にあたって、注意すべきポイントも存在します。運用次第では逆効果となる恐れもあるため、あらかじめリスク要因を把握しておきましょう。

顧客体験によって集客が変化する

ロイヤリティプログラムには、自社ブランドに対して顧客が愛着を高められる良質な顧客体験の提供が欠かせません。単に送料無料や大幅な割引といった価格面の特典ばかりに頼ると、お客さまは価格だけを目当てに集まり、価格競争に陥る可能性があります。

会員限定イベントの開催や便利なサービスの提供などを通じて新鮮な驚きを提供し、お客さまがブランドに対して前向きな感情を持てるような工夫が必要です。会員だけが体験できる特別なサービスを提供し、価格以外の付加価値で勝負しましょう。

顧客の参加しやすさを考える必要がある

ロイヤリティプログラムへの手続きが複雑すぎると、お客さまが面倒に感じて参加率が低下する可能性があります。例えば、会員登録時に入力項目が多すぎると、途中で離脱しやすくなるでしょう。

手続きがアプリのダウンロードやバーコードの提示程度で済むなら、誰もが気軽に参加できます。お客さまの手間を最小限に抑え、誰でも参加できる環境を整えることが大切です。

効果の検証が必要になる

ロイヤリティプログラムは、導入して終わりではありません。プログラムが顧客ロイヤリティ向上に寄与しているかを把握し、施策の改善が必要な場合はデータに基づく検証が必要です。

例えば、NPSの指標を用いて、お客さまが他者にどれほど推奨したいかを測定すれば、プログラムの影響を定量的に評価できます。アンケート結果を分析し、施策を見直すことで、顧客により喜ばれるプログラムへと進化できるでしょう。

ロイヤリティプログラムの実施例

実際のロイヤリティプログラムの成功事例として、スターバックスの「スターバックスリワード」というロイヤリティプログラムが挙げられます。

店舗と顧客の関係強化やLTV向上を目的として提供され、税込み60円の購入につき1スターを付与し、貯めたスターはドリンクやフードと交換可能にする仕組みです。

このプログラムにより、2021年5月時点で国内会員数は750万人に達し、蓄積された購買データはパーソナライズマーケティングにも活用されています。

関連リンク:Sprocket「ロイヤルティプログラムとは?種類とメリット、注意点、成功事例を解説」(2025年7月)

ロイヤリティプログラムの導入手順

ロイヤリティプログラムは、闇雲に着手するのではなく、事前に綿密な計画を練ることが必要です。

ここからは、ロイヤリティプログラムの作成方法をステップごとに解説します。自社の状況に合わせて各ステップを検討し、計画的に進めましょう。

目標を設定する

最初のステップは、ロイヤリティプログラムを通じて自社が達成したい目標を明確にすることです。ここで設定した目標がプログラム全体の指針となります。以下のように、具体的かつ測定可能なKPIとして明確に定義しておきましょう。

  • 購買頻度を前年より向上させる
  • 新商品の定着率を上げる
  • 紹介プログラム経由の新規顧客獲得件数を増やす

目標が明確になれば、後のステップで決めるプログラム内容やルールも定まりやすくなります。

報酬・種類を設定する

次に、お客さまに提供する報酬の内容とプログラムの種類を決めましょう。報酬は、お客さまの興味を引き、繰り返し購入したくなる魅力的な特典を用意することが重要です。

  • 一定額購入ごとにギフトを進呈
  • 会員限定の割引コードを配布
  • ランク昇格時に限定商品をプレゼント

報酬は自社にとって過度な負担とならない範囲で、お客さまにとって魅力的と思える水準に設定しましょう。

次にプログラムの種類を、自社の目標と提供できる報酬に適した形態に決めます。

運営の方法を決定する

ロイヤリルティプログラムの運営方法も、初期段階で決めておきます。小規模であれば手作業で管理・運用することも可能ですが、会員数や取引データが多くなる場合は、専用の管理ソフトウェアやシステムの導入が現実的です。

POSシステムと連携可能なロイヤリティ管理ツールを活用すれば、データを自動で容易に追跡・集計できます。自社の予算や規模に応じて、適切な運営方法を選択しましょう。

自社のブランディング・マーケティングの強化

設計したロイヤリティプログラムには、自社ブランドの要素を可能な限り反映させましょう。プログラムの名前、会員証やポイントの呼称、案内メッセージやWeb画面のデザインに至るまで、統一した世界観で顧客にアプローチすることが大切です。

例えば、ポイントの名称を自社ブランドにちなんだものにしたり、会員向けサイトのデザインをブランドカラーで統一したりする工夫が考えられます。また、プログラム導入後は社内外へのマーケティングにも力を入れましょう。

SMSやメールで会員募集キャンペーンを案内したり、店頭や自社サイト上で積極的に告知したりして、早期に一定数の会員を確保すると安心です。

フィードバックと修正をする

プログラム開始後は、その成果を分析し必要に応じて改善を行います。専用ソフトウェアから得られるデータやアンケートによる顧客の声などを収集・分析し、当初の目標に対する達成度を測りましょう。

例えば、プログラム参加率を計算すれば、顧客の興味関心度を把握できます。結果が芳しくない場合は、報酬内容の見直しや告知方法の改善など軌道修正が必要です。

まとめ

ロイヤリティプログラムは、既存顧客との関係を深め、企業の持続的成長を支える戦略です。プログラムを成功させるには、自社のビジネスモデルや顧客ニーズに合わせた設計と、導入後の継続的な改善が欠かせません。

経営者としてプログラムの成果を常にモニタリングし、お客さまにとって本当に価値のある特典や体験を提供し続けることが重要です。ロイヤリティプログラムを上手に活用し、既存顧客を熱烈なファンへと育てることで、自社のブランド力と収益性が高まるでしょう。

お役立ち資料

STORES ロイヤリティ

レジとネットショップの連携で、顧客情報・売上・注文情報を一元管理。独自のポイント設計を、お店でも、ネットショップでも活用いただけます。

資料ダウンロード