
今回は、STORES のモバイルオーダー・レジ・決済を導入された、栃木県栃木市のスペインバル「LAGUSTA(ラグスタ)」を運営する松本さまにお話をお伺いしました。(取材は2026年4月に実施)
もともと9年ほど、この街で母とダイニングバーを営んでいました。一度閉じましたが、母と「フラッと立ち寄れば知っている人がいる、サークルの部室のような場所をもう一度作りたいね」と話していたんです。前のお店の常連だったシェフと再会した流れもあり、3人でスペインバルを始めることになりました。
私たち3人は、栃木市の出身ではありません。だからこそ、「地元の繋がりがなくても、誰もが仲間になれる場所」を意識しています。料理やドリンクを提供するだけでなく、お店全体を「人と人が交わる場」として大切にしています。初めての方もよく来てくださる方も、いつの間にか全員が同じ話に混ざっている。そんな光景が当たり前にあるお店を目指しています。

正直、すごく迷いました。私たちが目指しているのは、初めて来た方も含めて自然に話せる場所。そこにセルフ注文を入れることがコンセプトに合うのか、ずいぶん悩みました。
答えのきっかけになったのは、「モバイルオーダーで注文を仕組みに任せる分、スタッフは接客に時間を使える」という考え方です。今までを振り返ると、料理やワインの説明や雑談の最中に、別のテーブルから「すみません」と注文で呼ばれて中断する場面が多くありました。一度離れると、戻ってきても同じ熱量で会話を続けることは難しい。口頭注文は、会話を一回ごとに途切れさせる存在でもあったんですよね。
モバイルオーダーがあれば、その突発的な中断がなくなります。「会話を奪うのではなく、むしろ守るための仕組みなんだ」と腹落ちして、開業時から入れることに決めました。
決め手は大きく2つあります。
1つ目は料金です。他社の中にはキャンペーンで初年度無料を打ち出しているところもありましたが、2年目以降になると結構な費用がかかることがネックでした。長くお店を続けていくことを考えたときに、STORES はモバイルオーダーやPOSレジの月額利用料、そして決済手数料のどちらもしっかり抑えられていた点が、特に印象的でした。
2つ目は、セット商品の組み立て方の柔軟性です。例えば、タパス盛り合わせセットのような、1つのセット商品の中で、ドリンクや追加メニューを選んでもらえる構造が組めます。「お客さまが選びやすい」「単価アップにもつながる」と感じたのが大きかったです。
担当の方から「これからどんどん良くしていきます」という意気込みを感じられたことも、後押しになりました。
「注文を自動化したら、お客さまとのコミュニケーションが減ってしまうんじゃないか」と心配していましたが、実際はまったくの杞憂でした。
お客さまと話している最中に注文の音が鳴っても、別のスタッフが対応するか、会話に区切りがついたら自分でサッと処理に行けばいい。口頭注文の頃のように突発的に話を中断されないので、一つひとつの会話を自分たちのペースで最後まで気持ちよく完結できるようになりました。「会話が奪われる」のではなく、むしろ「会話を中断されずに済む」「お客さまに向き合う時間に余裕ができる」というメリットを、開業時からはっきり感じています。
やろうと思えばやれたかもしれませんが、間違いなく「すっごくイライラする」状況になっていたと思います(笑)。
シェフは火を使っているし、私がカクテルを作っていれば氷が溶けてしまう。それぞれが手を離せないタイミングで「すみません」と呼ばれると、別の作業を中断するか、お客さまをお待たせするかになります。
モバイルオーダーがあると、自分の作業を一区切りつけてから対応できるので、一個一個のタスクを最後まで終わらせることが可能です。
決済まわりも、端末の反応が体感ではっきり速く、知り合いの飲食店の方に「早っ!いいな!」と言われるほどでした。


「こちらから売り込んだ」というより、「お客さまが気兼ねなく選べる環境を用意した結果、自然と一品増えていく」という感覚です。口頭注文だとお店が忙しそうなときはもう一杯頼みたくても遠慮されがちですが、モバイルオーダーならスタッフを呼ばずにご自身のペースで頼めます。
特に印象的なのが、厨房もホールもバタバタしている忙しい時間帯です。お客さまから「すみません」と呼ばれる余裕すらないようなときでも、キッチンディスプレイには次々と注文が入ってきます。それは、モバイルオーダーがなければ取れていなかった注文ですよね。
帰り際のドリンクや、デザートなど、「もうちょっと食べたい・飲みたいよね」という気分の波に合わせて、自然と一品ずつ増えていく。明確な数字で追えているわけではないですが、「モバイルオーダーがあることで、結果的に客単価も上がっているんだろうな」という感覚はあります。その手前にあるのは、お客さまがその時々に食べたいものを、遠慮せず頼める体験ではないでしょうか。
カタログごとに表示時間を設定できる機能を活用して、ラストオーダーの10分前にタイマーをかけており、時間になったら「検討中でしたら今のうちにどうぞ」とお声がけしています。口頭でご注文を伺うと、断られたときにお互い気まずさを感じてしまいがちですが「自動的に消えちゃうので、見ておいてくださいね」という伝え方なら、お客さまも気軽に画面を確認してくれます。結果として、ラストオーダー前にデザートが2テーブルほど追加で入る日も珍しくありません。

メニュー登録は STORES の担当の方が一緒に組み立ててくださったので、本当に助かりました。自分で全部やろうとしていたら、開業前の限られた時間ではとうてい間に合わなかったと思います。
運用開始後の最初の1週間ほどは、お客さまよりも私たちの方がついていけていない部分があり、店内で慌てる時間もありました(笑)。ただ、初めて使うツールに慣れるには時間がかかるものです。開業前から早めに準備を始めておくことが、いちばんの近道だと感じています。
60代・70代のお客さまも多く、最初は操作に戸惑う方もいらっしゃいました。そんなときはしゃがんでスマホを一緒に覗き込み「ここを押して……」と進めています。
おもしろいのは、一緒に操作する時間そのものが会話のきっかけになっていることです。口頭注文だと「これちょうだい」で終わっていたかもしれない方も、「これは何のお料理?」「おすすめは?」と、話しかけてくださいます。同じお客さまが2回目に来てくださると、「途中まで自分でできたよ」と笑顔で報告してくれます。デジタルで距離ができるのではなく、一緒に覚える体験がお店との関係を一段深めてくれる。そう感じる瞬間です。
「お店いつから始めたの?」「スペインビールでおすすめは?」と、注文とは関係ないタイミングで声をかけてくださる方も多く、オーダーを「会話の入り口」にしなくても、自然と会話が生まれています。
「また来たくなる体験」を積み重ねていくお店にしたい、と3人で話しています。来ていただいた方が「おいしかったね・楽しかったね」とまた来てくださる。来客数が少ない日があっても、「その分、来てくださった方により丁寧に接客できる」という余裕に変えていきたいです。
新規向けに広告をどんどん打つよりも、SNSやポッドキャストで3人の素の雰囲気を緩く発信していきたいと思っています。目の前のお客さまを大切にすることが、結果的に長期的な関係、長く深いご縁につながると信じています。
モバイルオーダーやハンディの導入を悩まれる方は多いと思います。私自身は、最初に入れてしまった方が、お客さまもスタッフも“それが当たり前”として受け入れてくださると感じています。
大事なのは、導入前に使い方をしっかりイメージしておくこと。「どういう機能があるのか」「自分の店ではどう活用できるのか」を、担当の方とじっくり話したうえで判断するのが一番です。オンラインだとしても実際の画面を見ながら一緒にシミュレーションできるので、入れたあとのイメージがぐっと鮮明になりますよ。

