今や多くの飲食店があり、競争が激化しています。どのようにお客さまを集めればいいのか、悩んでいるオーナーや店長さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは飲食店における集客課題や効果的な飲食店の集客方法について紹介していきます。
飲食店の「集客施策」検討時に押さえておくべきこと
飲食店といっても、居酒屋やカフェ、定食屋など、いわゆる食事をメインで提供することを主軸に置いている店舗もあれば、バーやビアホールもあります。さらに、キャバクラなども飲食店に分類されます。それらの飲食業全体の事業所数を合計すると、小売業などと比べても非常に多いです。
さらに、飲食店の競合にもなり得るスーパーやコンビニエンスストアなどの中食産業を含めると、ライバルは非常に多いといえるでしょう。また、日本の人口は減少の一途をたどっており、うまく経営できない飲食店はさらに淘汰されていくと見込まれます。
一方で、インバウンド政策がうまくいっていることもあり、観光やビジネス目的の外国人の外食需要は伸びつつあります。そのような飲食店をめぐる激しい状況の変化に対応していくためにも、今まで以上に効果的な集客施策を実行していくことが必要です。
店舗への集客の際に気を付けること
店舗への“集客”といわれると、チラシを配ったり、InstagramやFacebookなどのSNSに投稿したり、「とりあえず宣伝すれば大丈夫だろう」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、やみくもに宣伝すれば飲食店に集客できるような時代ではありません。集客するためには、自分の店はどのような特徴があるのか、どのようなお客さまに好まれるのか、ほかの店舗に勝てるものはないのか、どのようなメッセージであればお客さまに響くのか。飲食店ならではの集客課題をふまえて、戦略を考える必要があります。
その上でどのような店舗に関する集客手法がベストなのかを選別し、実行していく必要があります。具体的な施策の選別に入る前に、まずは集客戦略を考えることが大切です。
ここではその集客戦略の立て方から、デジタル・アナログ双方の具体的な飲食店の集客方法やその特徴などについて紹介していきます。
飲食店の集客戦略とは?
まずは自分の店舗に必要な集客戦略を考えていきましょう。そのためには、お客さまのニーズを理解することが大切です。
たとえば、「自分たちが提供する料理がおいしいからお客さまは来てくださる」と思っている飲食店があるとします。しかし、実際にはお客さまは料理のボリューム、つまり量が多くて満足できるから、という理由で来ている場合もあります。
このように店舗側が思っているセールスポイントとお客さまが来店する理由がズレているケースがあるのです。つまり、オーナーや店長が自分たちの店の強みをしっかりと捉えきれていないといえます。
このような状態では、「うちの店は味が自慢です」という謳い文句だけで宣伝しても、効果を最大化することはできないかもしれません。それよりも、「うちはボリュームが多くて、味もよし。コスパが抜群です」と伝えた方が、お客さまの納得度も高まり、口コミなどでも広がりやすいかもしれません。
自分たちの現状把握、つまり、店舗の強みをしっかりと把握することが大事です。レストランや居酒屋の集客など、それぞれで最善な策を講じるためにも、お客さまにどこがいいのかストレートに聞くのが一番です。まずはそこから始めてみましょう。
その1:コンセプト立案とブランディング
お客さまに自分たちの強みをヒアリングしていくと、どのような点がほかの店と比べて選ばれる理由なのかが分かってくると思います。それらを集約した上で、次に取り掛かるのが店舗のコンセプトを決めることです。
お客さまは何を目的に来店し、ほかの店舗では得られないどのようなよいことを提供できるのか、といった店舗のポジションを定めていくのです。「うちの店は、こういうニーズのある方が利用する店です」ということを自分たちで理解できていないと、宣伝するメッセージも明確になりません。
また、コンセプトを立てながら、店にどのようなブランドイメージを付けるか、という視点を持っておくことも重要です。たとえば「焼き鳥といえば、○○」というように、お客さまの会話の中で真っ先に名前があがること。そのように第一想起されるようになることが、よいブランドが付いた状態といえます。
ブランディングがうまくできれば、店舗としての価値が高まり、お客さまから選ばれやすい状態を作れます。いきなりは難しいかもしれませんが、目指すべきブランドイメージを持ち続けて店舗へ集客していくことが大事です。そうすることで、宣伝文句などのメッセージにも統一感が生まれ、お客さまの認知度も深まるでしょう。
その2:ネーミングを工夫しよう
お客さまのニーズを把握し、コンセプトを決めていく中で、細かい点にまで気を配っておくことも重要です。特にすぐに実践しやすいのが、メニューのネーミングを工夫することです。
たとえば「○○農園の朝採れ野菜を使ったパリパリサラダ」と「グリーンサラダ」なら、どちらがおいしそうと思えるでしょうか。せっかくよい素材を使っているにもかかわらず、そのよさを伝えきれていないのはもったいないです。産地やこだわりを入れるのは、居酒屋などでの集客手法として有効といえるでしょう。
また中華であれば「パラパラチャーハン」としてみたり、レストランでの集客力を高めるために「ふわとろオムライス」と表現したりする店も多くあります。このように五感を意識させる表現を使うことも大事です。
メニューのネーミングによっても、店のイメージが作られていきます。なお、これらもコンセプトや目指したいブランド像に基づいてメニュー名を付けていくことが重要です。
その3:目玉となるメニューを作ろう
ネーミングと同様に、“仕掛け”としておすすめしたいのが目玉商品を作ることです。思わず驚いてしまうような、口コミやSNSで話題にしたくなるようなメニューを作りましょう。見た目のインパクトがすごいもの、特にサイズの大きなものが目立ちます。
たとえば、「デカ盛りカレー」でレストランの集客力を高めたり、「タワーに見立てて積み上げた唐揚げの盛り合わせ」で居酒屋の集客力を高めたり、そのほかにも「ジャンボお好み焼き」「エベレスト盛りそば」「一升チャーハン」「バケツ入りラーメン」「超巨大パフェ」など、SNSで写真に撮ったら話題になりそうなものであれば、一気に広まる可能性も高く、店の名前を広めていく“飛び道具”になります。
その4:リスク対策をする
しっかりと店舗へ集客したり、ブランディングしたりしていたとしても、突発的に発生するリスクによってそれが台無しになってしまうこともあります。
特に飲食店において、もっとも神経をとがらせるのが食中毒です。もし発生してしまえば営業停止になるだけでなく、全国ニュースやSNSでもその情報が広まり、評判が落ちてしまうかもしれません。せっかく築き上げたブランドも一気に崩れてしまいます。
また、地震や洪水などの自然災害によって、営業停止になったり、店舗が倒壊してしまったりする可能性もあります。これらのリスクに備え、事故が起こったときにいち早く事業を再開させるためにも、しっかりとBCP(事業継続計画)を作成しておくことが大事です。
たとえば、電気やガス、水道が止まっていたとしても、常温保存できるストック食材を使い、弱い火力でも作れるメニューを1~2種類提供する。そのような計画を記載し、マニュアルとしてスタッフに事前に共有しておくなど、万が一の備えを十分にしておきましょう。
飲食店の集客におすすめのユニークなアイデア
他店との差別化を図り、お客さまの記憶に残るユニークな集客アイデアは、飲食店の集客に不可欠です。ここで紹介するアイデアを組み合わせながら、オリジナリティにあふれる魅力を発信し、集客の成功を目指しましょう。
コンセプトに沿った内装やメニュー
飲食店のコンセプトは、ターゲットとなるお客さまを集客し、独自の世界観を伝えるための重要な要素です。
たとえば「隠れ家バル」なら少し暗めの照明や個室感を重視した内装、「健康志向カフェ」なら自然光を採り入れた明るい空間やオーガニック素材を使ったメニュー、「昭和レトロ喫茶」なら昭和を感じさせるインテリアやレイアウトといった具体策を講じることで、お客さまにコンセプトを伝えられます。
また、内装だけでなく、メニューや食器、BGM、スタッフの制服にいたるまで、細部にわたり、コンセプトを反映させることで統一感が生まれるでしょう。また、SNS映えするような空間や料理を提供することにより、口コミによる集客も期待できます。
飲食店で重要なことは、ターゲット層のお客さまが魅力を感じて共感できるコンセプトを設定し、それを店舗全体で表現することです。
来店したお客さまが、思わず写真を撮りたくなるように仕掛けることで、他店との差別化を図り、集客につながります。
厳選素材を使用する
「産地直送」「無農薬野菜」「〇〇漁港直送の鮮魚」など、食材へのこだわりをアピールする飲食店は、おいしさや安心感といった品質の高さを求めるお客さまや、健康志向のお客さまの集客が期待できます。
単に良質な素材を使うだけでなく、その背景にある生産者の想いや栽培・飼育方法、希少性などのストーリーをメニューやPOP、Webサイトで伝えることで、お客さまからの共感を呼ぶでしょう。
たとえば、特定の農家から仕入れた野菜を使ったメニューの提供により、その農家の情報を店内で紹介する、珍しい地元の伝統野菜を採り入れるといった施策が考えられます。また、特定の食材に特化した「〇〇専門店」として打ち出すことも、有効的な戦略です。
また、生産者とコラボした試食イベントなどの開催により、おいしさの理由を体験してもらうことも、集客に役立つでしょう。
素材へのこだわりは、料理の味を向上させるだけでなく、飲食店の信頼性やブランドイメージを高め、価格設定の根拠にもなり得ます。
テイクアウトやフードデリバリーの需要にこたえる
店内飲食(イートイン)だけでなく、テイクアウトやフードデリバリーへの対応は、現代の飲食店の集客において重要な戦略です。ライフスタイルの多様化や感染症対策などを背景に需要が高まっており、あたらしいお客さまの獲得や売上拡大の機会となります。
各社デリバリーサービスへの出店はもちろん、自店舗でのテイクアウト受け付けや独自のデリバリー網を構築することで、来店が難しいお客さまの集客も可能となるでしょう。
テイクアウト限定メニューや手軽に食べられるワンハンドメニューの開発、店舗の味を家庭で再現できるミールキットの販売、オフィス向けの弁当宅配といった施策は、他店との差別化につながる飲食店らしいユニークな取り組みといえるでしょう。
また、容器のデザインにこだわる、手書きのメッセージを添えるといった工夫も、お客さまの満足度を高めるポイントです。
ほかにも、SNSや公式LINEによる注文受け付けや各種案内をおこなうことで、利用のハードルをさげることが可能です。利便性の提供が、集客につながります。
コラボレーションメニューを作る
異業種やほかの飲食店、キャラクター、インフルエンサーなどとのコラボレーションは話題性を生み、あたらしいお客さまを獲得するユニークな集客方法です。
たとえば、地元の酒蔵と協力して日本酒に合う特別メニューを開発する、人気アニメキャラクターをモチーフにした期間限定メニューを提供する、有名シェフや料理研究家監修のメニューを導入するなどの施策が考えられます。
飲食店以外とのコラボレーションにより、お互いのお客さまを集客できるだけでなく、メディアに取り上げられる機会が増え、SNSでの拡散も期待できるのです。意外性の高い組み合わせほど、注目を集めやすくなるでしょう。
コラボレーションの成功には、飲食店のコンセプトやターゲット層と親和性の高いコラボ相手を選び、双方の集客にメリットのある企画を立案することが重要です。
記念グッズの配布や期間限定イベントの開催など、限定感や特別感を演出することで、お客さまの来店意欲を刺激します。
SDGsに取り組む
環境や社会貢献に配慮した企業経営が求められるいま、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みは、企業の社会的責任としてだけでなく、飲食店の集客においても有効なアピールポイントです。
「環境に配慮した店で食事をしたい」「社会に貢献したい」という高い意識を持つお客さまにとって、SDGsに積極的に取り組む姿勢がイメージの向上と共感の獲得につながります。
具体的には、地産地消の推進、フェアトレード認証食材の使用、規格外野菜の活用や食べ残しを減らす工夫などの食品ロスの削減、テイクアウト容器の見直しなどによるプラスチックごみの削減、ヴィーガン向けメニューの導入、子ども食堂への協力などが挙げられます。
こうした取り組みを飲食店内のPOPやWebサイト、SNSで積極的に発信することで、同じ価値観のお客さまをひきつけ、応援する気持ちを持ってもらえます。社会貢献を通じて、ほかの飲食店との差別化を図り、長期的な目線でファン獲得、そして集客を目指しましょう。
シーズンイベントにあわせたメニューやプラン
季節ごとのイベントや旬の食材を採り入れたメニュー、プランは、お客さまの来店動機を作り出す効果的な集客方法です。
飲食店の場合、春には桜や旬の山菜を使った特別メニュー、夏にはビアガーデンやテラス席限定プラン、秋にはハロウィンや紅葉にちなんだ料理やデザート、冬にはクリスマスディナーや忘新年会プランなどが考えられます。
旬の食材を積極的に使うことは、料理のクオリティを高め、季節感を演出し、お客さまの満足度向上につながります。
また、バレンタインデー、母の日、父の日などのイベント向けギフトメニューや特別コースを用意するのもよいでしょう。
季節限定のメニューやプランは、リピーターとなるお客さまに来店のきっかけを与えるだけでなく、あたらしいお客さまに対しても「今しか味わえない」という限定感をアピールできます。店内の装飾も季節ごとに変更することで、より一層イベント感を高めることができるでしょう。
独自のイベントを開催する
飲食店が独自にイベントを企画・開催することは、お客さまとの関係性を深め、ファンを増やすためのユニークな集客方法です。料理教室や食に関するワークショップ、生産者との交流会、ワインや日本酒のテイスティング会、音楽ライブなどが考えられるでしょう。
単に食事を提供する場としてだけでなく、お客さまが「参加したい」「友人を誘いたい」と思えるイベントにするためには、飲食に加えて学びや交流、エンターテイメントの場としての価値を提供することが大切です。
たとえば、シェフが直接料理のコツを教える料理教室は、店の味を家庭でも楽しみたいというニーズにこたえられます。また、常連客限定のイベントや、「〇〇地方の郷土料理を楽しむ会」など特定のテーマを設定した食事会は、お客さま同士のコミュニティ形成にもつながります。
イベント情報は、店頭での告知に加え、SNSやメールマガジンで積極的に発信し、参加を促しましょう。店舗の個性や強みを活かしたユニークなイベントは、口コミを誘発し、集客にも貢献します。
[飲食店の集客方法 その1] デジタル手法
現在はインターネットを活用したさまざまな集客手法があります。飲食店においては、どのような方法が効果的なのか、詳しくご紹介したいと思います。
その1:ホームページ
公式サイトやWebサイトでは、営業時間やアクセスなどの店舗の基本情報をはじめ、写真付きのメニュー紹介など、コンテンツを充実させることが大切です。内容が薄ければ、いくらほかの広告で誘導してきてもすぐに離脱してしまいます。
また、SNSやWeb広告などを経由してホームページを訪れる方も多く、いわば集客の要にもなります。そのため、先に立案したコンセプトやブランドに基づいて、統一された世界観を意識したデザインにすることも大事です。
高級レストランで集客を図るのであればラグジュアリーな雰囲気にしたり、安さをウリにした居酒屋の集客を図るのであればカジュアルで親しみやすいテイストにしたりするなど、業態や店舗のポジションによって見せ方を工夫していきましょう。
その2:ブログ
ホームページを作るにはサーバのレンタル費用なども発生するため、まずは無料のブログから始めるのもひとつの手です。
店長やスタッフの日々の様子など、気軽に投稿できます。アメーバブログなどさまざまなものがありますが、利用規約をしっかりと確認しておくことが大切です。
商用目的ではなく、日記など利益を目的としない情報の発信でなければ認められないものもあります。
その3:Instagram
ビジュアルでの訴求力が高いInstagramは、メニューや店内を写真でアピールするのに向いています。インスタ映えしそうなものであれば好感度が高くなるでしょう。
特に10代~30代の女性ユーザーに多く利用されているため、女性をメインターゲットにしている飲食店ではあれば必ず活用したいところです。
レストランの集客においても、居酒屋の集客においても、スイーツなど女性の人気が高いメニューは見栄えよく撮影し、積極的に投稿していきましょう。
参考:総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」」(2025年5月)
その4:Facebook
Facebookページを作ることで、集客に役立てられます。ビジネスアカウントを取って店舗のビジネスページとして運用することが可能です。あたらしいメニューの紹介やスタッフの声などを投稿し、フォロワー数(ファン)を増やしていきます。
ただ、これも開設しただけで終わらせてはいけません。世の中にはほとんど投稿されず、放置されているものも多く見られます。興味を持ってFacebookページを開いてみたものの、数年前で投稿が止まっている…。その状態を見たユーザーの中には不信感を抱いてしまう人もいるかもしれません。
そうならないように、社内で専任者を置くか、もしくは外部の専門業者に運用を委託するとよいでしょう。
その5:X(旧ツイッター)
タイムリーに店の口コミを拡散させたいなら、Xが向いています。特に若年層のユーザーが多いXでは、若者をターゲットとした集客に適しています。
リアルタイムで投稿できるので、空席情報などをこまめに発信することで、集客につなげられるでしょう。
その6:YouTube
YouTubeは長尺の動画を使い、飲食店の料理のこだわりや店舗紹介、スタッフのインタビューなど深い情報発信ができます。
検索経由での認知度向上や、ファンづくりに有効で、ほかSNSとの連携でさらなる集客効果が期待できるでしょう。
その7:TikTok
TikTokは、短い動画で料理の調理シーンや店内の雰囲気を発信できるため、若い世代を中心に飲食店への高い集客効果を発揮します。
店独自のレシピ動画やスタッフの裏側の様子も拡散されやすく、話題性のある投稿はあたらしいお客さまの獲得につながります。
その8:Threads
Threadsは、リアルタイムな情報発信やコミュニケーションが強みのSNSです。当日限定のサービスやイベントの告知、空席情報を手軽に発信できるため、お客さまとの距離を縮めるツールとして有効です。あたらしいお客さまの集客にも役立ちます。
その9:公式LINE
公式LINEアカウントでは、クーポンの配布やイベント情報、季節限定メニューなどをタイムリーに通知できます。
個別のやり取りも可能なため、予約や問い合わせの利便性向上やリピーター育成が、集客に直結できるでしょう。
その10:メルマガ
お客さまとやり取りをする仕組みとしてはSNSが主流になっていますが、メルマガもまだまだ飲食店の集客方法として有効活用することが可能です。
SNSの場合はユーザーから訪れてもらうことで情報を見てもらう形になりますが、メルマガの場合は店からのアプローチ、つまり、プッシュ型での情報発信になります。
たとえば、キャンペーンの日程にあわせて計画的にメールを配信したり、新作メニューや割引情報などを伝えたりすることで集客することが可能です。
その11:ウェブ広告
ウェブ広告といっても、実にさまざまなものがあります。検索エンジンで検索した際にページの上位などに表示されるリスティング広告、SNSにおいては、友達の投稿が掲載されるフィード上に表示されるFacebook広告やInstagram広告などがあります。
ユーザーの年齢や性別、趣味趣向などでセグメントした形で広告を出稿でき、戦略的な集客をおこなえます。
その12:そのほかの集客ツール
そのほかにも、ぐるなびや食べログなどのグルメ情報サイトへ掲載、店舗向けスマホアプリの活用、Googleマップ上で店舗情報を最適化するMEO対策も有効です。
スマホアプリはユーザーに専用のアプリをダウンロードしてもらうことで、アプリ上で空席情報を調べられ、メッセージのやり取りもできるようになっています。
[飲食店の集客方法 その2] アナログ手法
古くからある看板やチラシなど、インターネットを使わない集客手法においてもさまざまなものがあります。効果が見込めるものもあるので、こちらもご紹介いたします。
その1:看板
店の前を歩いている人や車でとおりがかっている人に、直接的に働きかけます。たとえば看板の出ていない店に入ってみたい、という方は少ないのではないでしょうか。
看板がある店舗とない店舗では入店率が大きく変わってきます。店名だけでなく、どのような特徴の店なのかを明示することも大事です。またインパクトのあるものなど、看板の写真をSNSにアップしてもらうことを意識したデザインなども有効でしょう。
その2:クーポン・スタンプカード
クーポンなども飲食店の集客方法としては有効です。たとえば単に割引を謳うだけでなく、「お一人さま割」「○○という名前の方限定割引」など、特徴的なクーポンを発行することも話題作りに最適です。単に安くして来てもらうことだけを考えるのではなく、特徴付けをして話題性を狙うことで集客効果を高めます
また再来店を促すスタンプカードも、リピーターの集客には欠かせません。効果を高めるためには、3回スタンプを押してもらったらクーポンなど、早めの特典を付けるとよいでしょう。
特典までの道のりが長い場合、リピート効果が得られません。できるだけ早くお得感を抱いてもらうことで、その後の固定客の増加につなげていきます。
その3:チラシ
チラシは地域を絞って効率的に配布できるため、地元のお客さまにリピーターとなってもらいたいときに効果的です。新聞の折り込みチラシをはじめ、ポスティングサービスをしている会社などに依頼できます。
たとえば、チラシを持参された方へのご来店特典の情報を掲載するなど、効果を最大化していきましょう。
その4:ウェルカムボード
カフェやレストランの入り口などに、黒板を使ったウェルカムボードが置かれているのをみたことがある方はお多いのではないでしょうか。メニューを書くだけでなく、店からのメッセージやイラストも掲載するなど、温かみのある雰囲気を演出できます。
なるべく人目に付くところに設置し、集客効果を狙いましょう。
その5:店頭演出
のぼり旗やタペストリーなど、店頭での演出も重要です。ひと目でなんの店なのか分かりやすく、カラフルなものはそれだけで目を引きます。
遠くからも見えるので、車どおりの多い郊外型店舗においても有効かつ直接的な集客方法となるでしょう。
その6:情報誌出稿
クーポン紙などのフリーペーパーやタウン誌などがあります。いずれも地域に根差した媒体であり、エリア内ではある程度の立ち位置を築いていることもあり、店舗の集客として有効です。
また、プロのフォトグラファーが撮影したシズル感のあるメニューの写真を掲載してくれる可能性もあるので、ブランディングとしての効果がある媒体もあります。
無料の場合と有料の場合があるので、それぞれの媒体価値を確認した上で利用を検討してみましょう。
集客に成功した飲食店の事例
STORES を活用して集客に成功した飲食店の事例と、どのような効果があったのかを紹介します。導入によりあらたなお客さまの獲得やリピーターの増加、業務効率化などさまざまな効果が得られています。
事例1:Cruise Town Coffee Roasters
神奈川県茅ヶ崎市にある「Cruise Town Coffee Roasters」は、 STORES ネットショップ、STORES レジ、STORES 決済 を導入することで集客力と業務効率を大きく向上させたコーヒー専門店です。
同店は飲食業からコーヒーロースターへの業態転換をきっかけに、店舗とネットショップの在庫を一元管理できる STORES ネットショップ、STORES レジ を導入しました。導入後は、レジとネットショップで別々におこなっていた商品登録や在庫管理が大幅に簡略化。業務効率化を実現しました。
スタッフの負担が軽減されたことにより、ネットショップ構築も直感的かつスムーズに進み、はじめてのネット販売も安心して取り組めたそうです。
また、 STORES 決済 の導入により、JCBなど多様なキャッシュレス決済にも対応でき、お客さまの利便性が向上しました。ユーザーの声を反映した柔軟なサポートや頻繁なサービスアップデートが、長期的な店舗運営や顧客満足度の向上に貢献しています。
結果として、店頭販売だけでなくネット経由でのあらたなお客さまの獲得やリピーター増加にも成功。STORES サービス の総合的な活用が集客・売上アップに直結しています。
参照:STORES 導入事例 「Cruise Town Coffee Roasters」
事例2:餃子のかわしも
「餃子のかわしも」は、 STORES ネットショップ を活用して集客に大きな成功を収めた飲食店の好例といえるでしょう。オーナーは家族の介護をきっかけに小規模工場を設立し、餃子の製造・販売事業を始めました。
当初は自社サイトの開設や地元広告、知人へのサンプル配布などの手段で集客を試みていましたが、全国規模での認知拡大には限界を感じていました。転機となったのが、 STORES ネットショップ とInstagramの連携機能を活用し、SNS上で商品の魅力を積極的に発信し始めたことです。
Instagramへの投稿をきっかけに、多くのフォロワーによるシェアや口コミが広がり、注文数も大幅に増加。認知度が一気に高まりました。また、コロナ禍による実店舗の売上減少をネットショップで補い、結果的にわずか1年で売上が3〜4倍に成長しました。
さらに、商品発送時に餃子のおいしい調理方法を同封したり、オリジナリティある商品開発に注力したりすることで、他店との差別化を実現し、集客増を実現しました。
事例3:大森山王ブルワリー
大森山王ブルワリーは、東京都大森発のクラフトビール専門店です。地域活性化と地元とのつながりを重視し、事業展開しています。
持ち帰り専門の実店舗と、 STORES ネットショップ を活用したネットショップの展開により、コロナ禍という厳しい状況下でも飲食店の集客と売上増を実現しました。
ネットショップの立ち上げ当初は、実店舗で購入したお客さまがネットでもリピーターになるようにSNS連携を強化。また、店主自らがInstagramなどで発信をおこなうことで、地域住民やイベント参加者の心をつかむことに成功しました。
また、テレビ番組への露出をきっかけに全国からの認知度も高まり、 STORES ネットショップ が受け皿として大きな役割を果たしました。商品のデザインには「贈り物にしたくなる」「地域への興味を持たせる」というコンセプトを盛り込み、お客さまとのつながりを重視したブランド構築を進めています。
広告配信は最小限に抑え、日常的な集客はリアル店舗とSNS、父の日など特別なタイミングにだけ広告を活用して集客をおこなっていることが特徴です。
事例4:せんとり
埼玉県越谷市のもつ焼き専門店「せんとり」は、コロナ禍による営業休止を受けて、家族が一丸となり STORES ネットショップ を開設しました。
開設の際、もつ焼きを自宅でもおいしく楽しめるよう、何度も試作の上「湯せん」で手軽に食べられる商品を実現。魅力をしっかり伝えるため、スマートフォンでおいしさが伝わる商品写真を撮影し、説明文にもこだわりました。
また、SNS(Facebook、X)やスタッフによる協力で情報発信を強化しつつ、コラボ企画やキャンペーンも実施し、集客に努めた点が特徴です。
常連のお客さまに加え、遠方に転居したお客さまだけでなく、その家族などあたらしい層からも注文が入りました。北海道など遠方からのオーダーもあり、全国のお客さまを獲得できたのです。
STORES ネットショップ の操作性やサポート体制も初心者に好評で、ネットショップ運営と新商品開発が、前向きな挑戦意欲につながったことも大きな集客につながったそうです。
事例5:せたがやブレッドマーケット
STORES ネットショップ を活用した集客の成功例として、「せたがやブレッドマーケット」の取り組みが挙げられます。
同店は、当初は実店舗のパン屋として、地域コミュニティと密接にかかわる形で営業をしていました。その後、出産・子育てをきっかけに、通信販売や卸、イベント出店をメインとする業態転換をおこなったそうです。
その際、全国のお客さまにもパンを届けたいという思いからネットショップを STORES ネットショップ で開設しました。
施策の中心は、イベント中止時に余ったパンを「限定パンセット」として STORES ネットショップ で緊急販売した点です。この商品情報をお客さまがSNSで紹介したところ、一晩で拡散され、予想を大きく超える注文を獲得できました。
この結果、パンは全国から注文が集まり、リピーターも増加した結果、イベント頼みだった収益構造から脱却し、安定した通販チャネルを確立できました。
同店は、 STORES ネットショップ を選んだ理由として「独立した店として自分らしい世界観を表現できる」点を挙げており、今後はコラボ商品やセットだけでなく、単品販売の拡充も計画しているそうです。
参照:STORES 導入事例 「せたがやブレッドマーケット」
飲食店が集客をおこなう際の3つの注意点
飲食店が集客をする際は、自店舗に合った施策を見極めること、新規と既存客へのアプローチをわけること、複数の施策を組みあわせて実施することが重要です。それぞれの特徴や目的を明確にし、効果的に活用しましょう。
自分の店舗にあった施策を見極める
集客の施策は、どの店舗にも万能なわけではありません。とくに飲食店は、まず自分の店舗が「家族連れ向き」「若者向け」「高単価志向」など、どのようなターゲット層に支持されているかを分析し、それに合った集客方法を選ぶべきです。
SNS発信が得意な店舗ならInstagramの活用、地域密着型ならチラシやクーポン配布など、飲食店の個性や強みが活きる施策の見極めが大切といえます。無理に流行を追うのではなく、自店の魅力を最大限引き出せるようにしましょう。
新規と既存客へのアプローチを区別する
新規客と既存客では、響く集客アプローチが異なります。新規客には店舗の認知度アップや初回限定キャンペーンなど、まずは来店してもらうための施策が効果的です。
一方で既存客には、リピートを促すためのポイントカードや特別メニューの案内、限定イベントへの招待など、店舗への愛着を深める集客施策が重要といえます。
両者を同じ手法で集客しようとすると、効果が薄まることも多いため、ターゲットを明確に分けてアプローチを設計しましょう。
複数の施策を組み合わせる
集客効果を最大化するには、複数の施策を組み合わせて相乗効果を狙うことが重要です。
たとえば、SNSで新メニュー告知をおこないつつ、LINE公式アカウントでクーポン配布、さらにGoogleマップにも最新情報を反映させれば、さまざまな経路からの集客が可能になります。
各サービスに連動性を持たせて集客を展開し、お客さまとの接点を増やすことで、来店のきっかけが増えるでしょう。それぞれの施策が補完し合うよう戦略を立てることが、飲食店の安定した集客につながります。
まとめ: 自分の飲食店にあった集客方法を実践しよう
飲食店に最適な集客方法などをご紹介してきましたが、大切なのは自分の店を客観的に見てみることです。
それによって飲食店としての集客課題が分かり、おのずとコンセプトや目指したいブランドイメージ、具体的な宣伝メッセージ、集客方法などが見えてくるのではないでしょうか。
レストランや居酒屋の集客方法、バーやカフェの集客方法など、業態によって最適な集客方法が変わってきますし、コンセプトによっても違ってきます。
地道に戦略を立て、さまざまな集客手法を試みながら、改善をしていく。そのような繰り返しがあってこそ、お客さまから選ばれる飲食店となり、“名店”というブランドを手に入れられるのかもしれません。
まずはご自身の飲食店にあった集客手法を採り入れながら、売上を伸ばしていきましょう。