利益だけが目的ではない、ポップアップストアを知っていますか?
実店舗を持たない作家さまやネットショップオーナーさまの増加から、こうした方々と交流するためポップアップストアの需要が高まってきました。最近では、駅構内や商業施設の一角などで見かけることも増えてきました。
そこで今回は、
- ポップアップストアの特徴
- ポップアップストアを開催するメリット・デメリット
- ポップアップストアの開き方(出店方法)
についてわかりやすく解説していきます。
- ポップアップストアって何?
- ポップアップストアを開催する目的は?
といった疑問を解決して、これからのショップ運営で上手に活用していきましょう。ネットショップの知名度を上げたいオーナーさまは必見です!
ポップアップストアとは?
ポップアップストアとは、数日~数週間の短い期間にのみ出店される、期間限定の店舗のことです。出店する主な目的は、プロモーション活動や一時的な販売経路の拡大である場合がほとんどといえるでしょう。
また、ポップアップストアと同じ意味合いで使われる言葉に、
- ポップアップショップ
- ポップアップリテール
があります。
突然現れる期間限定ショップがポップアップストアと呼ばれるのには、英語の「pop up(意味:現れる)」が語源になっているといわれています。海外では「突然現れる」ため、何もない土地に店舗をまるごと建設して「pop up store」とする場合もあるようです。
そのほか、ポップアップストアは、お店の周知にも適しています。商品を実際に手にとることができるため購入につながりやすく、SNSを通じたお客さま発信の拡散を見込めます。
ポップアップストアの出店目的
企業やブランドがポップアップストアに出店する目的はさまざまですが、主な理由は、新商品やサービスのプロモーション、ブランド認知の向上、あたらしい顧客層の獲得などです。
ネットショップが主流となる中で、実際に商品を手にとってもらう場として、ポップアップストアは大きな役割を果たします。
また、既存店舗がない地域での商品認知度アップや、ターゲット層が多く集まるイベントや商業施設での体験型マーケティングも目的のひとつです。期間限定という特別感から話題性が生まれ、SNSでの拡散や口コミによる集客も期待できます。
ポップアップストアは来店者の反応をその場で直接確認できるため、今後のマーケティング戦略や商品開発へのヒントを得やすいのも特徴です。ブランドや商品の魅力を最大限に伝えるための重要な手段として活用されています。
ポップアップストア出店のメリット
メリットその1:低コストで出店ができる
ポップアップストアは、店舗よりも低いコストで出店できるのが大きな魅力です。気になる費用相場はショップスペースのレンタルのみであれば、
- 神奈川県 約5,000円 / h
- 東京都 約10,000円 / h
が相場です。費用はエリアによっても異なりますが、1日(8時間)利用しても4万円~8万円という安さで出店することが可能となります。
また、市場の動きや情報に左右されやすいオンライン上の出店とは違い、オフライン(路面店やデパートの空きスペース)での販売が可能なポップアップストアは、インターネット広告費が不要となります。
メリットその2:SNSで拡散されるチャンスがある
ポップアップストアは、期間限定や特別な体験を提供する場として注目を集めやすく、SNSで話題になる可能性が高いことが特徴です。
お客さまが店内のデザインや限定商品、イベントの様子を写真や動画で撮影してくれるかもしれません。InstagramやX(旧Twitter)、TikTokなどに投稿されることで、自然な形で商品のプロモーションやブランドのマーケティングにつながります。
SNS上でシェアされることで、リアルな体験が多くの人に伝わり、普段は店舗に足を運んでいない層にも認知が広がるといえるでしょう。また、ユーザーの口コミや体験談は企業発信よりも信頼されやすく、集客だけでなくブランドイメージの向上にも効果的です。
こうした拡散効果を狙い、SNS映えする装飾や体験型コンテンツを用意する企業が増えています。
メリットその3:お客さまと直接コミュニケーションが図れる
ポップアップストアでは、お客さまと直接コミュニケーションを図れることが大きなメリットです。実際に商品を手にとったお客さまの反応や要望をその場で聞けるため、今後の商品開発やサービス向上に役立つリアルなフィードバックを得られます。
また、従業員がブランドの想いや商品の使い方をていねいに伝えることで、お客さまの理解や信頼感が深まります。顔の見える接客は、リピートや口コミのきっかけにもなり、長期的なファンづくりにもつながる重要なポイントです。
ポップアップストア出店のデメリット
デメリットその1:準備に時間がかかる
会場探しやポップアップストア用の在庫確保、資材確保をおこなう必要があります。また、ほとんどの場合、出店者が各自で装飾をおこなうため、開催日間近になると準備に追われる時間が増えやすいでしょう。
「そう何度もないイベントだから」や「知名度アップのために」と気持ちを切り替えて、苦しい経験も楽しめるようなオーナーさんにはおすすめです。
デメリットその2:高い利益は生み出せない
ポップアップストアを開くと、
- 会場費用
- 機材など各種レンタル費
- 人件費
- 交通費
- 在庫配送費
などのコストがかかります。必要な費用と売上を照らし合わせると膨大な利益を生み出すことは難しいでしょう。
ただし、ポップアップストアはあくまでも知名度アップや新規顧客の獲得が目的。利益だけにとらわれず、開催することの付加価値(メリット)を意識することが大切です。
次は、ポップアップストアを開くための方法を解説していきます。
ポップアップストアを開いてみよう!
ポップアップストアを開くための準備は、大きく分けて
- 資金の確保
- 必要なものの準備
- ディスプレイイメージ
- 開催の告知
の4つです。どのようなポイントが重要か、順番に見ていきましょう。
準備することその1:ポップアップストアの開催に必要な費用を確保しよう
上でも挙げたように、ポップアップストアを開くには最低でも
- 会場費用
- 機材など各種レンタル費
- 人件費
- 交通費
- 在庫配送費
の費用がかかります。
開催日数や扱う商品によって費用は異なりますが、参考までにポップアップストアを2日間開いた場合の目安となる金額を見ていきましょう。
例: ポップアップストアを2日間開いた場合
参考:スペースマーケット「ポップアップストアの費用は?効果や具体的にいくらかかるか、事例まで解説」(2025年6月 時点)
このように、ポップアップストアを開く際は、最低でも6万円ほどの費用がかかると見込んでおくのとよいでしょう。
集客が見込まれるショッピングモールなどに出店する場合は、広告費用をカットしやすい代わりに資材費がかさむ傾向があります。費用や資材には余裕を持っておくと安心です。
準備することその2:必要なものをそろえよう
実際にポップアップストアを開催するには、開催する会場のほかにもさまざまなアイテムが必要になります。参考までに、開催するときに最低限必要なものについてまとめてみました。
会場
レンタルスペースや移動型販売車など、会場となる場所はまず確保したいポイントといえます。候補にあがっている会場は、実際に足を運んで通行人層や地域性を確認しておくのがおすすめです。
レジ・キャッシュレス決済サービス
金額が異なるいくつもの商品を扱う場合、レジサービスを使うと来店者・購入者の回転効率を高められます。また、1万円以上の商品を販売する場合、決済方法にクレジットカード決済があると安心です。
ショップ袋(ショッパー)
日ごろ使用している自社のショッパーがあれば、わざわざ別のものに変える必要はありません。オリジナルバッグがないショップの場合、事前に資材店に問い合わせてオリジナルバッグを作ることも可能です。
ただし、費用対効果(コストに対する効果)がどれほど大きいかよく検討することが大切といえます。
什器(ディスプレイ用の家具)
什器はレンタルスペース会社やイベント企画会社から借りることができます。サイズや台数、デザインによっても費用は変動します。たとえば、「仮設試着室」に比べレディーストルソーの方が金額が高いことが多いです。
在庫
新商品、限定商品、売れ筋のベストセラー商品など、ポップアップストアではいくつかの商品を販売します。主に人気を得やすいベストセラー商品、ロングラン商品が売れやすい傾向にあるので、開催前は念入りな在庫管理をおこないましょう。
また、限定商品やコラボアイテムがある場合は売れやすいことが想定されるため、余裕を持った在庫が必要といえます。
釣り銭
事前に両替をして、各種硬貨とお札をそろえておきましょう。店舗の釣り銭切れはお客さまへ迷惑をかける原因となりやすく、悪印象を与えがちです。
また、必須ではありませんが、あると便利なものとして下記のようなものがあります。
ポップアップストアを開催するために必要なものはそう多くはありませんが、欠けると開店時に困ってしまうのは確か。
ここでは一般的に必要とされるものについてまとめているので、自分の店独自に必要なものがないか、事前によく確認しましょう。
準備することその3:ポップアップストアのディスプレイを考えておこう
ポップアップストア開店当日にバタバタしてしまわないためにも、ディスプレイは事前に考えておきましょう。具体的には、
- 什器の配置場所
- 商品の陳列場所
- 装飾イメージ
を決めておくことが大切です。
どの什器にどの商品をどのようにディスプレイするかなど、細かな配置方法まで考えておくと、前日~当日の準備をスムーズに進められます。考えたディスプレイは従業員全員に共有できるよう、印刷しておくことがポイントです。
また、レンタルスペース会社にディスプレイのイメージを交えて相談すると、理想のディスプレイに適した物件・立地をアドバイスしてもらえる場合もあります。
そのほか、ディスプレイで通行人の目を引くには、ブランドイメージと季節感を上手にミックスするのがコツです。テーマを決めたら季節小物を上手に配置して、ブランドや商品の魅力を高めましょう。
たとえば、スマホ小物のポップアップストアを秋冬に開くなら、秋の訪れを感じさせるアースカラーをふんだんに取り入れて、木の実やドライフラワーなど季節感ある素材を活用してみましょう。
スマートフォンやタブレット端末を使って、秋冬をイメージさせるプロモーション動画を流しておくのもよいかもしれません。
準備することその4:ポップアップストア の開催をお知らせしよう
レンタルスペースの予約が取れてポップアップストアを開くことが決まったら、多方面へ事前告知をしていきましょう。
ポップアップストアの開催をアナウンスする際は、
- いつ
- どこで
- 時間
- ポップアップのポイント
の4つの内容を必ず含むようにしましょう。
ポップアップのポイントには、限定商品やコラボ商品があること、先行販売をおこなうことなど「行きたい」と思えるポイントを盛り込むことが大切です。
また、開催を知らせる方法はチラシ以外にも、SNSやブログ、ネットショップのお知らせやメルマガなどを活用できます。
そのほか、事前告知だけでなく、イベント当日は店の盛況具合や限定販売品の残り点数など、リアルタイムの状況を発信していくことで店に足を運べない人へも雰囲気を伝えることができます。
魅力的な写真や動画は、当日に拡散されて来客につながるケースもめずらしくないため、できるだけ多くの人の目に留まるよう告知方法を工夫しましょう。
ポップアップストアを出店する主な場所
レンタルスペース
レンタルスペースは、駅近や人通りの多いエリアなど、さまざまな立地や広さから選ぶことができるため、短期間で気軽に出店するのに適しています。貸し会議室やギャラリー、カフェの一部など、多彩なスタイルのスペースが利用できるのが特徴です。
比較的リーズナブルな価格で借りられるため、初めてポップアップストアを出店したい人や、小規模イベントに最適といえるでしょう。予約や契約もオンラインで手軽におこなえるサービスが増えています。
百貨店などの商業施設
百貨店や大型ショッピングモールなどの商業施設は、集客力の高さが大きな魅力です。普段から多くの人が訪れるため、新規顧客の獲得やブランド認知の拡大につながります。
また、施設側による広告や集客サポートが受けられることもあり、効果的なプロモーションも期待できるでしょう。
ただし、出店の際には審査や一定の条件をクリアする必要があり、費用もレンタルスペースより高くなる傾向があるため、事前の準備が重要です。
まとめ
利益だけでなく、プロモーション効果を期待できるポップアップストアは、需要が高まっている出店方法の1つです。
お客さまのニーズに上手にこたえることでファン(新規顧客)を獲得できるポップアップストアは、出店をきっかけに売上が増加したという事例もめずらしくありません。
実店舗に憧れを持つオーナーさんの場合、ポップアップストアなら低コストで店舗開店を実現できるのも、嬉しいメリットといえるのではないでしょうか?
ただし、前述のようにポップアップストアは一度に大きな売上が見込める方法ではないので、利益以外の付加要素に目を向け、価値を見いだせる人におすすめです。
今回の記事を参考にポップアップストアを開くための準備を進めて、ぜひ理想のポップアップ計画を作っていきましょう。
ポップアップストアを開く際には、持ち運べる決済端末があると便利です。さまざまな決済手段に対応する STORES 決済 を導入すると会計がスムーズに進み、ポップアップストアの運営に役立つでしょう。
ポップアップストアについてよくある質問
ポップアップストアと一般店舗の違いは何ですか?
ポップアップストアは、期間限定で出店する臨時店舗である点が最大の特徴です。一般店舗が長期間にわたり営業するのに対し、ポップアップストアは数日から数週間、あるいは数カ月など、出店期間が限定されています。
また、ポップアップストアは商品のプロモーションや新規顧客の獲得、トレンドへの迅速な対応など、特定の目的やイベントにあわせて柔軟に展開できるのがメリットです。
反対に、一般店舗は地域に根ざして長期的に安定した運営を目指すスタイルが多いという違いがあります。
ポップアップストアのメリットは?
ポップアップストアは、短期間で集中的に商品やブランドのプロモーションができる点が強みです。
コストを抑えて出店でき、ターゲット層へのダイレクトなアプローチが可能なほか、お客さまの生の声を直接聞けるため、今後のマーケティング戦略にも活かしやすいのが魅力です。話題性や集客効果も高まります。