ネットショップは特性上、お客さまに実物を見てもらうことができません。お客さまに「買いたい!」と思ってもらうには、パソコンやスマホの小さな画面上でも商品の魅力が伝わる写真が必要です。つまり、写真の出来が売上を左右するといっても決して過言ではありません。
魅力の伝わる写真を用意するには、プロのフォトグラファーにお願いして撮影してもらうという手段もありますが、費用を抑えるためにもまずは自分で撮るのがおすすめです。
- 商品写真を撮るのは苦手...
- カメラの知識がない...
そんな不安をお持ちの方でも、コツさえつかめばネットショップにぴったりの撮影ができます。
この記事では、撮影のコツやポイント、必要な機材についてご紹介します。ぜひ参考にして、商品撮影の苦手意識を克服してください。
ネットショップの商品写真を撮るコツ
商品の撮影には、センスや高い道具が必要と思っていませんか?実はどちらも必要ではありません。コツをつかめば、撮影経験のない方でも売上につながる効果の高い商品写真が撮影できますよ。
ネットショップでは、お客さまに商品の魅力が伝わることが最優先。世界観を守るための工夫であれば別ですが、撮影する側の自己表現の場にして好みなどを押し付けることは避けた方がベターです。
同様に、お客さまに伝わりにくいようなオリジナリティを優先しすぎた写真も避けた方がよいでしょう。ネットショップの場合は、あくまで「商品の魅力」を適切に伝えることを優先にすることが重要ですよ。
機材については、一眼レフカメラや照明など、プロが使うようなしっかりとした機材があれば高画質・高品質な写真が撮れるのは事実です。
しかし、高額機材がなくても、ネットショップ用の写真は普段使っているスマートフォンやコンパクトデジタルカメラで十分に撮影可能です。
商品撮影のために必要な機材
魅力的な商品写真を撮るために、まずは必要な機材を揃えることから始めましょう。スマートフォンやカメラはもちろん、三脚や照明、背景紙などの道具を活用することで、商品の特徴をより鮮明に伝えられます。
さらに、レフ板やディフューザーを使えば、光の調整がしやすくなり、プロのような仕上がりに近づけることが可能です。
ここでは、必要な機材8つについて詳しく解説します。
スマートフォン
最近のスマートフォンはカメラも高機能なので、ネットショップ用に十分な高画質の写真が撮れます。
古い機種や一部の機種をのぞき、撮影設定も環境に合わせるオート機能が搭載されているので、設定の手間も不要です。
三脚
三脚があれば手ブレのない写真が撮影可能です。
最近はスマートフォン用の小さいものも種類豊富で、安く入手できます。ポイントは、脚が太いものを購入すること。安定性が高く、揺れに強いためおすすめです。また、角度や傾斜を計測する「水準器」付きのものを購入すると、上下左右のバランスをとりながら撮影ができます。
通販サイトのレビューなどを参考に、自分の用途にぴったりのものを選んでください。
照明
屋内で撮影する場合、日の向きや時間帯によっては十分な光量が確保できない場合があります。
被写体の近くで光量を確保できる外付けのライトがあれば、こうした事態を回避することが可能です。複数個を使用してさまざまな角度から光をあてることで、商品に影ができません。
白い画用紙
商品の色味や特徴を適切にお客さまに伝えるには、基本的には白色の背景が理想です。しかし商品によっては背景色や背景パターンを変えた方がよい場合もあります。
そのためにおすすめなのが、背景をかんたんに作れる背景紙です。背景紙は1,000〜2,000円台から手に入るので、単色系はもちろん、パターン背景紙もいくつか用意してさまざまな商品に使えるようにしましょう。
一眼レフ・ミラーレスカメラ
価格帯も幅広く機能もさまざまです。最初から高価なものを購入せず、撮りたい写真に合わせて、使いこなせるスペックのカメラがよいでしょう。レンズもはじめはカメラ付属のもので十分です。
レフ板
光を反射させ、本来であれば暗くなってしまう部分を明るく照らす場合に使用するレフ板は、ライトが使えない屋外でよく使われます。コンパクトに折りたためるタイプは1,000円前後から購入可能です。
ディフューザー(ライトコントロールパネル)
商品にライトを当てると質感が損なわれる、商品の後ろに影ができてしまう場合などに、商品に当たる光を分散させて、写真を柔らかい雰囲気にします。3,000〜4,000円程度で購入できます。
小道具
カメラや照明だけでなく、細かな小道具も用意しておくとよいでしょう。スムーズに撮影が進むだけでなく、商品の魅力をより効果的に伝えられます。
たとえば、マスキングテープやクリップで背景紙や商品を固定し、ブロワーで商品やレンズに着いたホコリを取り除けば、撮影の精度が上がります。
また、練り消しゴム(ねりけし)を使えば、転がりやすい商品を支えたり、小物の角度を変えたりと微調整がしやすくなります。
商品撮影の6つの手順
商品の見映えをよくするには、撮影のポイントを押さえることが大切です。高価な機材がなくても、準備と工夫次第で魅力的な商品写真を撮影できます。
ここで紹介する基本的な手順を実践し、スムーズに撮影を進めましょう。
1.撮影場所の確保
まずは、商品撮影に最適な場所を確保しましょう。
たとえば、窓の近くに撮影スペースを設けると、自然光の柔らかい光で商品を美しく撮影できます。ただし、直射日光が強すぎると影が濃くなりすぎるため、窓に対して45〜90度の角度でテーブルを設置し、光を調整するとよいでしょう。薄いカーテンを使って光を拡散させる方法もおすすめです。
人工光を使用する場合は、照明機材を設置できる十分なスペースを確保し、光の向きを調整しやすい環境を整えましょう。背景紙をセットするスペースも考慮しておくことがポイントです。
2.ライティングを考える
ライティングには、「自然光」と「照明」のふたつのパターンがあります。
自然光を利用する場合は、晴れた日の午前中から午後にかけて撮影すると、やわらかく自然な光で商品を美しく見せられます。窓際で撮影する際に光が強すぎる場合は、カーテンやレフ板を活用し、光を調整しましょう。
一方で、LEDライトやストロボなどの人工光を使用すると、商品の形や質感を際立たせられます。光の向きを工夫し、前方斜め45度からメインのライトを当てると、自然な陰影を作り出すことも可能です。また、背景にできる影をやわらげるために、逆側から補助光を当てると、より均一な明るさを確保できます。
商品の輪郭を際立たせたい場合は、斜め後ろからライトを追加すると、立体感のある写真に仕上がります。
商品の特徴にあわせてライティングを調整し、魅力を最大限に引き出しましょう。
3. 写真の構図を考える
写真の構図にもこだわると、より一層雰囲気のある写真に仕上がります。
黄金分割構図
縦横をそれぞれ3等分し、線が交わる4つの点のどこかに被写体を配置する構図で、バランスがよく安定感があります。
日の丸構図
メインを真ん中に置く構図で、何が撮りたいかひと目でわかります。人物写真に多いです。
対角線構図
被写体を対角線上に置く構図です。奥行きや躍動感を出しながら、全体のバランスを整えることができます。構図にこだわると、商品を使うシチュエーションがイメージしやすく、顧客の印象にも残りやすくなります。
4.スマホやカメラの設定をする
撮影前に、スマホやカメラの設定を整えておくと、よりきれいな写真が撮れます。
スマホの場合は、画面に補助線(グリッド線)を表示して構図を整え、セルフタイマーを使って手ブレを防ぐのがポイントです。フラッシュは影が強く出ることがあるためオフにし、フィルターは使わず、商品の色を自然に写すことを意識しましょう。露出を調整して明るさを適切に設定すると、商品の細部までしっかりと見せられます。
カメラを使う場合は、ホワイトバランスをオートに設定し、ISO感度は100〜200程度にするとノイズを抑えられます。絞りはF11前後にすると商品全体がはっきりと映り、シャッタースピードは1/125秒程度に設定すると安定した撮影が可能です。
また、三脚を使用することでブレを防ぎながら撮影できるのでぜひ活用しましょう。
ただし、撮影環境によって最適な設定は異なるため、試し撮りをしながら調整することが大切です。とくに、光の当たり方や背景の色によって写真の印象が変わるため、撮影前に細かく確認し、最適な設定を見つけましょう。
5.撮影して必ず確認する
写真を撮った後は、仕上がりをしっかり確認しましょう。商品が画面内にしっかり収まっているか、余白が適切にとれているかをチェックします。影の出方や商品の色合いが自然に見えるかも確認するとよいでしょう。
とくにピントが合っているかは重要なポイントです。スマホやカメラの小さな画面では細かい部分が見えにくいため、パソコンの大きな画面でチェックすると、より分かりやすくなります。写真の確認をていねいにおこない、必要なら撮り直しも検討しながらクオリティの高い商品写真を目指しましょう。
6.撮った写真を編集する
撮影した写真は、編集することでさらに魅力的に仕上げられます。明るさやコントラストを調整して商品の細部を見えやすくし、不要な影や色味のズレを修正すると、より印象的な写真になるでしょう。
おすすめの画像編集ツールは、以下の3つです。
- Lightroom:明るさや色の調整がしやすい
- Photoshop:背景の修正や細かい加工が可能
- Canva:シンプルな編集やデザインの追加に便利
少し編集を加えるだけで、商品の魅力が伝わる写真になるので、ぜひ活用してみてください。自分で編集することが難しいと感じる方は、AI機能を試してみましょう。
商品の種類ごとの撮影のコツ
商品によって撮影のポイントは異なります。たとえば、服や靴などのアパレルは形や素材感を伝える工夫が必要で、アクセサリーは細かい部分の輝きやデザインを際立たせることが大切です。
食品はおいしそうに見せるためのライティングや角度が重要になります。商品それぞれの特徴に合わせた撮影のコツを押さえて、魅力的な写真を撮りましょう。
アパレル(服・靴・かばん)
アパレル商品は、着用イメージが伝わるように撮影することがポイントです。撮影スタイルには「平置き」「ハンガー」「モデル着用」「マネキン使用」などがあり、それぞれの特徴を活かすことで商品の魅力を最大限に引き出せます。
たとえば、服はハンガーにかけ、モデルやマネキンを使うと形やサイズ感がわかりやすくなります。靴は斜めの角度から撮ると立体感が出て、ソールのデザインが伝わりやすくなるでしょう。かばんは外側だけでなく、内側の収納スペースを見せることで使い勝手のよさをアピールできます。
アパレル商品を撮影する際の照明は柔らかい光を使い、影が強くなりすぎないように調整すると、素材の質感がより自然に表現できます。背景はシンプルなものを選び、商品が引き立つような印象的な写真に仕上げましょう。
アクセサリー
アクセサリーは、細かいデザインや輝きをしっかり写すことが大切です。金属や宝石の輝きを美しく見せるために、光の当たり方を工夫しましょう。
自然光を使うと、柔らかく自然な輝きを引き出せます。撮影時にはマクロレンズを活用すると、細部までくっきりと映せます。
パーツモデルや着画キットを活用し、アクセサリーが目立つような構図にするのがポイントです。小さなアイテムは接写で撮影し、質感やデザインの魅力が最大限伝わるようにすると、より魅力的な写真になります。
食品や料理
食品の撮影では、おいしそうに見せる工夫が重要です。温かい料理は湯気を強調し、冷たい飲み物は水滴をつけるとリアルな質感が演出できます。光の向きを工夫し、逆光ぎみにすると立体感が出て食材の鮮度が際立つでしょう。
また、食器やカトラリーを添えることで、食卓の雰囲気を演出でき、よりおいしそうに見せられます。背景はシンプルにし、食品が主役になるように撮ると、より魅力的な写真に仕上がります。
ネットショップの商品写真の撮影時に注意したいポイント
商品写真は、撮影の際に気を付けるポイントがあります。最初は特に意識してください。
商品の見やすさを意識しよう
ピントを商品にしっかりと合わせることが最も重要です。写真の中で商品が小さくなりすぎないようにしてください。
お客さまに伝わる商品写真を撮影しよう
商品の全体像・背面はもちろん、衣類のタグであれば洗濯マークがわかるように撮影します。縫い目や質感なども伝わるようにするとよいでしょう。
画像を複数枚掲載できる場合はなるべく多くの画像を使用して、商品の魅力をなるべく伝えられるようにしましょう。
撮影した写真は必ず確認!
ちょっとした明るさ程度であれば撮影後に修正することも可能ですが、極端な黒つぶれ・白飛びは修正することが難しく、せっかく撮影した写真が無駄になってしまいます。
あとで撮り直しになってしまわないよう、撮影前に設定をきちんと見直すことはもちろん、撮影後もすぐに仕上がりを確認することが大切です。
商品撮影まとめ
商品写真は、センスや高価な機材がなくても撮影できます。たとえ初心者でも、スマホと照明、背景紙があれば大丈夫です。背景・光・構図という3つのポイントに注意すれば、十分なクオリティの写真が撮れますよ。
今回紹介した内容を参考に、ぜひクオリティの高い商品写真を撮影してみてくださいね。