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更新日
2025-09-25

ダイレクトマーケティングとは?手法・メリット・デメリットについて解説

STORES マガジン編集部
ダイレクトマーケティングとは?手法・メリット・デメリットについて解説

ダイレクトマーケティングとは、企業が顧客に直接アプローチし、購入や反応を促すマーケティング手法です。近年は、SNSやアプリを活用する企業も増えています。

この記事では、代表的な手法やメリット・デメリット、導入ステップから活用事例までわかりやすく解説します。

ダイレクトマーケティングとはどのような手法?

ダイレクトマーケティングとは、企業が顧客に対して直接コミュニケーションを取り、商品やサービスを宣伝・販売するマーケティング手法です。通信販売の普及をきっかけに、一人ひとりの顧客に合わせたダイレクトマーケティングが誕生しました。

まず、郵便を使ったダイレクトメール(DM)が生まれ、その後電話・FAX・Eメールへと手法が広がり、現在ではSNSやスマートフォンアプリも活用されています。

米国のダイレクト・マーケティング協会では「1つまたは複数の広告メディアを使い、測定可能な反応を得られる双方向型のマーケティング」と定義し、双方向のやり取りを通じて効果測定がしやすく、顧客との関係構築にも役立つ点が特徴です。

ダイレクトマーケティングでよく使われる方法

ユーザーとの接点となる手段としては、ダイレクトメールや電話、SNSなどさまざまなチャネルが利用されています。

それぞれアプローチできる相手や得意とする領域や、得られる効果が異なるため、ターゲットに合った方法を選ぶことが大切です。

①ダイレクトメール

ダイレクトメール(以下DM)は、古くから利用されている代表的なダイレクトマーケティング手法です。チラシやパンフレットなどの広告物を顧客の自宅宛に直接郵送し、商品の案内やキャンペーン情報を届けます。

自社が保有する顧客リストを活用し、興味・関心が近い顧客や居住地域が近い顧客に絞って送付するため、高い開封率・閲読率が期待できます。インターネットが普及した現在でも、「ターゲティングDM」や顧客ごとに内容を変える「パーソナライズDM」により、DMは有効な手段です。

②テレマーケティング

テレマーケティングは、電話やFAXを使って顧客とやりとりする手法です。通信販売が普及したことで登場し、主にコールセンターのオペレーターが顧客からの問い合わせに対応したり、商品の案内連絡をおこなったりします。

リアルタイムで会話できる強みがあり、対話を通じて顧客の生の声を聞けるため、対応次第では顧客満足度やロイヤリティの向上にもつながります。

③Eメールマーケティング

Eメールマーケティングは、電子メールを通じて顧客や見込み顧客に情報発信し、購買行動を促す手法です。1通あたりの配信コストが低く抑えられるため、コストパフォーマンスのよい手段といえます。

代表的な施策として、自社からのお知らせやお得情報を届けるメールマガジン、あらかじめ設定したシナリオに沿って自動配信し、購買意欲を高めるステップメールなどがあります。

④SNSマーケティング

SNSマーケティングは、X(旧:Twitter)やFacebook、Instagram、LINE、TikTokなどのソーシャルメディア上で企業アカウントを運用し、情報発信やプロモーション、顧客との交流をおこなう手法です。

SNSはユーザーとの双方向コミュニケーションが取りやすく、投稿への「いいね」やコメント、メッセージ機能を通じて顧客と直接触れ合える点が特徴です。

⑤レコメンデーション

レコメンデーションとは、顧客の過去の購買履歴や閲覧履歴データを分析し、その顧客が興味を持ちそうな商品やサービスを自動でおすすめ表示する手法です。特に、ネットショップで広く活用されており、サイト訪問時や購買手続き時に「あなたへのおすすめ」として関連商品が表示される仕組みです。

顧客一人ひとりの嗜好に合わせた提案をすることで、興味にマッチした商品と出会う確率が上がり、購買意欲を高める効果が期待できます。

⑥商品への同梱物・封入物

商品への同梱物・封入物を活用する方法も、ダイレクトマーケティングならではの手法です。商品の発送時に、カタログや割引クーポンなどを商品と一緒に封入して届けることで、顧客に追加の情報提供や次回購入の促進をはかります。

商品受取時に自然と手にとってもらえるため、高い閲読率が期待でき、違和感なく新しい提案を届けられます。

ダイレクトマーケティングをおこなうメリット

直接アプローチできるダイレクトマーケティングには、さまざまなメリットがあります。上手く活用すれば、効率的に売り上げの拡大やLTV(顧客生涯価値)の向上にもつなげられるでしょう。

ここでは、ダイレクトマーケティングに取り組むことで得られる、主なメリットを5つ紹介します。

費用対効果が高い

ダイレクトマーケティングは、すでに資料請求や購入などで興味を示している顧客に絞ってアプローチできるため、効果的に広告を配信できます。

また、ターゲット層に合わせて適切な媒体を選ぶことで、ユーザーに自然に訴求しやすいというメリットもあります。広告をセグメント配信した結果、ROAS(広告費用対効果)が750%超を達成した事例もあります。

出典:Synergy!「成功事例に学ぶデジタルマーケティング~ROIを高めるために~」(2025年7月)

効果測定がしやすい

ダイレクトマーケティングでは、顧客からのレスポンスを数値で把握しやすいため、施策の効果測定が容易で、PDCAサイクルを回しやすいというメリットもあります。例えば、ダイレクトメールで配布したクーポン券と、Eメールで配布したクーポンコードの使用率を比較すれば、次回はどちらに力を入れるべきかの判断が可能です。。

配信リストをセグメント分けしてリストごとの反応のよし悪しを分析することで、仮説を立てやすくなり改善に繋げられるでしょう。

人件費などのコストカット

ダイレクトマーケティングを活用すれば、実店舗を構えずに商品・サービスを販売できるため、人件費や店舗維持費などのコストを削減できます。人的リソースに限りがある企業でも、直接販売の仕組みを整えれば少人数で効率的に顧客にアプローチ可能です。

紙の郵送物による通知を一部デジタル化した事例では、発送コストを従来比で約3割削減することに成功しています。

出典:TOPPANEdge「さまざまなコストアップがDM施策の大きな壁に!今考えられる突破策とは?」(2025年7月)

事業規模の拡大

従来の対面営業や店舗販売では、売上拡大のために人員の増強や多店舗展開が必要でした。しかし、ダイレクトマーケティングなら、営業スタッフや店舗を増やす代わりにメディアを通じた販売促進が可能なため、比較的少ない人員でも成果を上げられます。

さらに、データに基づく着実な販促活動であるため、従来の勘や経験に頼る方法と比べて、事業拡大の確度が高まるともいえるでしょう。

顧客とのコミュニケーションがとれる

ダイレクトマーケティングは、企業と顧客が直接コミュニケーションを取る前提のマーケティング手法です。そのため、双方向のやり取りによって顧客の声をダイレクトに収集・反映しやすいという特徴があります。

生の意見やフィードバックをリアルタイムに得られるため、商品・サービスの改善や新たな提案に素早く活かすことが可能です。顧客と継続的に対話を重ねて関係性を深めることで、結果的にファンづくりやロイヤル顧客の育成も期待できるでしょう。

ダイレクトマーケティングをおこなうデメリット

費用対効果や効果測定のしやすさが魅力のダイレクトマーケティングですが、すべての企業にとって常にスムーズに進むとは限りません。成果を上げるには、顧客の特性に応じた手法の選定や、適切なシステム運用などが必要です。

ここでは、導入時に注意すべき主なデメリットを解説します。

効果を実感するまで時間がかかる

ダイレクトマーケティングは、取り組み始めてから投資回収までに時間がかかり、成果を実感できるまで長期戦になりやすい点がデメリットです。

ユーザーのリスト作成やDMの印刷などの初期コストと手間がかかるうえ、PDCAを回して費用対効果を高めていくため、最初から高い反応が得られるとはかぎりません。

初期投資を回収できるだけの十分な成果を出すには、時間をかけて試行錯誤を重ねることが大切です。

ターゲットごとに手法を変える必要がある

ダイレクトマーケティングでは、有効なチャネルや訴求方法は年代や性別によって異なるため、単一のやり方ですべての顧客に同じ効果を出すのは困難です。

たとえば、同じ広告でも、FacebookとX(旧Twitter)、Instagramではユーザー層が異なるため、各媒体で反応率に差が出る可能性があります。

ターゲットの嗜好や利用メディアの特徴を踏まえて、細かく手法を調整・最適化していくことが必要です。

反響が続くとは限らない

最初は大きなレスポンスを得た広告でも、時間の経過とともに表現に新鮮味がなくなり、ユーザーに響かなくなる可能性があります。

たとえば、以前は多くの人が日常的に利用していたEメールも、現在ではLINEやSNSのDM機能を使う人が増え、かつてほど反応が得られなくなったのが現状です。

常に顧客の反応を見ながら、広告内容や出稿媒体を改善・ブラッシュアップし続ける姿勢が求められます。

専門知識・ノウハウが事前に必要

ダイレクトマーケティングの各手法を効果的に運用するには、それぞれに応じた専門知識やノウハウが必要です。

電話、DM、Eメール、SNSなど、多岐にわたるチャネルそれぞれで成功するための知見が求められるため、自社で取り入れる手法に知識のある人材がいるかどうかが重要です。

社内に十分な知見がないまま始めると、成果を上げるまでに時間がかかる可能性が高くなります。場合によって、専門の代行サービスや外部パートナーへの依頼の検討も必要になるでしょう。

ダイレクトマーケティングが適している業種

ダイレクトマーケティングは、BtoC・BtoB問わず幅広い業種で活用されていますが、その中でも特に適していると言われるのがEC(電子商取引)業界です。

ネットショップでは、顧客の登録情報や購買履歴といったデータを取得しやすいのが特徴です。それに基づいて、各顧客の趣味嗜好に合った商品のレコメンドやクーポン配信をおこなうことで、効率的に購買を促進できます。

BtoCはもちろん、市場規模が拡大しているBtoBのネットショップにおいても、ダイレクトマーケティングを活用したOne to Oneのマーケティングが効果を発揮しています。

ダイレクトマーケティングの実施の流れ

ダイレクトマーケティングを効果的に実施するには、目的やターゲット、手法の選定などを段階的に整理し、戦略的に進めることが必要です。ここでは、実際に施策を始める際の基本的な流れを、5つのステップに分けてご紹介します。

目的を設定する

まず、ダイレクトマーケティングで何を達成したいのかを明確に設定します。

  • 新商品の認知度向上
  • 顧客リストの拡大
  • 既存顧客のリピート購入促進 など

上記のような具体的な目標を掲げることで、効果的な戦略を立てやすくなります。また、この段階で後の効果検証に役立つKPI(重要指標)も合わせて設定しておきましょう。

ターゲットを設定する

次に、アプローチする対象となる顧客層を明確に定めます。年齢、性別、地域、購買履歴などさまざまなデータを基に顧客をセグメント化し、最適なメッセージを設計します。

ターゲットの選定は、マーケティング効果を最大化するための重要な要素なので、細かく分析と絞り込みをおこないましょう。

手法を設定する

ダイレクトマーケティングの手法は、ターゲットとの親和性が高い手段を選ぶことが大切です。例えば、若年層がターゲットならSNSやアプリからのプッシュ通知、ビジネス層ならEメールやセミナー案内DMなど、それぞれに適した媒体を決めます。

また、ターゲットのニーズや課題を踏まえ、それを解決できる提案や魅力的なオファーを盛り込むことで、訴求力の高いコミュニケーションができるでしょう。

媒体を作成・実施する

コミュニケーションの内容と手段が決まったら、実際に施策を実行するための媒体を準備します。

例えば、Eメールなら配信するメール文面のテンプレートや画像素材を作成し、DMならデザインを制作・印刷し、SNSなら投稿文とクリエイティブ(画像や動画)を用意しましょう。

実施中も途中経過の反応を確認し、必要に応じて微調整しながら進めると、改善を進めやすくなり効果が期待できます。

効果の検証・改善

施策を実施した後は、設定したKPIに対して、実際の成果がどうだったのかを計測・分析します。目標を上回る結果が出た場合は、その成功要因を分析します。

もし目標に届かなかった場合は、原因を突き止めましょう。課題が判明したら、次回の施策に反映させて改善策を講じることが必要です。

ダイレクトマーケティング活用の実例

ダイレクトマーケティングの効果的な活用事例として、自社のブランドアプリを活用した成功例をご紹介します。

食肉・惣菜加工品の製造・販売会社のカネ吉ヤマモトフーズでは、自社専用のブランド公式アプリをリリースし、ダイレクトマーケティングに活用。アプリをインストールした顧客に対し、プッシュ通知機能を使って新商品情報やセールのお知らせなどを直接配信しました。

お客さまごとの購買履歴データに基づき、興味のありそうな商品カテゴリーのクーポンやレシピ記事を個別に届けた結果、ユーザーのアクティブ率(利用頻度)がアップしたそうです。

また、実店舗への来店を促すクーポンを配信したところ、クーポン利用による来店客数が増加し、売上の向上に貢献したといいます。こうしたブランドアプリを通じた直接的なアプローチは、顧客との距離を縮めロイヤルティを高める有効な手段となっています。

参考:STORES ブランドアプリ 導入事例「カネ吉ヤマモト

お店やネットショップの顧客情報を一元管理
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まとめ

ダイレクトマーケティングは、少人数・低コストでも始められる効果的なマーケティング手法です。顧客のレスポンスに応じて柔軟に施策を調整できるため、効率的に売上向上やLTV向上をはかれるの魅力です。

ただし、効果が出るまで時間がかかり専門知識も必要なため、長期的な視野でPDCAを回して取り組むことが重要といえます。顧客の声に耳を傾け信頼関係を育みつつ、効果的な手法を積み重ねていくことで、自社の事業成長につながる持続的なマーケティング活動が実現できるでしょう。

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