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更新日
2025-09-19

バンドワゴン効果とは?マーケティングへの応用時の注意点も解説

STORES マガジン編集部
バンドワゴン効果とは?マーケティングへの応用時の注意点も解説

商品やサービスを選ぶとき、「多くの人が使っているから安心できそう」「評判がいいなら間違いなさそう」と感じた経験はありませんか。こうした心理の背景にあるのが「バンドワゴン効果」です。

本記事では、バンドワゴン効果の意味とそのメカニズムを解説した上で、スノッブ効果やアンダードッグ効果との違いを整理し、活用事例と注意点についてもわかりやすく紹介します。

バンドワゴン効果とは|多くの支持を集める効果

バンドワゴン効果は、「多くの人が選んでいるから、自分も選びたくなる」という心理的傾向を表す概念です。ある選択肢や行動に対して支持が集まっている状況を見ると、人はその流れに乗ることで安心感や納得感を得ようとします。

この現象は、パレードの先頭を進む楽隊車(バンドワゴン)の後ろに行列が続く様子に由来しており、「支持が集まっていること自体が、さらなる支持を生む」ことを意味します。

たとえば、飲食店の前に長い行列ができていると、「きっと人気があるに違いない」「おいしいのだろう」と感じて、行列に加わりたくなることがあるでしょう。このような行動の裏側には、「多数の選択が正しさの証になる」という心理が働いています。

商品の購入場面でも、バンドワゴン効果は強く影響します。「シリーズ累計〇万部突破」「多くの利用者が満足」といった文言を見ると、それまで関心のなかった商品でもつい気になり、試してみようと思う人が増えるのです。

この効果を活用すれば、商品やサービスの信頼感を高めたり、購入のハードルを下げたりすることができます。重要なのは、ただ「人気がある」と示すだけでなく、「どんな人が、どんな理由で選んでいるのか」まで丁寧に伝えることで、より納得感のある購買動機へとつなげることです。

スノッブ効果との違い

バンドワゴン効果と対照的な心理として挙げられるのが「スノッブ効果」です。バンドワゴン効果が「みんなが持っているから自分も欲しい」と感じるのに対し、スノッブ効果では「みんなと同じではつまらない」「人とは違うものを選びたい」という心理が働きます。

この効果は、周囲との差別化や独自性を求める感情から生まれます。そのため、あえて希少な商品や入手困難な限定品を選んだり、あまり知られていないブランドを好んだりする傾向に結びつきやすいのが特徴です。

たとえば、「流行っているから買う」のがバンドワゴン効果だとすれば、「流行っているなら逆に避けたい」と感じるのがスノッブ効果です。大勢が支持するものから距離を置くことで、自分らしさや個性を表現しようとする心理が背景にあります。

このように、バンドワゴン効果は「多数派に安心を覚える」行動であり、スノッブ効果は「少数派であることに価値を見出す」行動であるという点で、両者は真逆のアプローチをとる心理効果だといえます。

アンダードッグ効果との違い

アンダードッグ効果は、劣勢や不利な状況にある人や企業に対して、応援したいという気持ちが高まる心理を指します。「判官びいき」とも呼ばれ、弱い立場の者が奮闘する姿に共感が集まるのが特徴です。

感動を呼ぶスポーツの逆転劇や、逆境から立ち上がる小さな企業のストーリーなどに、この効果が見られます。

これに対してバンドワゴン効果は、「多くの人が支持しているから、自分も選びたくなる」という心理が基盤にあります。多数派に安心感や正当性を見出す点が、アンダードッグ効果の「少数派への共感」とは大きく異なります。

ヴェブレン効果との違い

ヴェブレン効果は、「価格が高いほど価値がある」と感じる心理を活用した消費行動です。高額な商品を購入することで、自分の経済的余裕や社会的ステータスを他人にアピールしたいという気持ちが働きます。

たとえば、高級時計やブランドバッグを身につけることで「成功者である自分」を演出したいと考えるのが典型的な例です。

バンドワゴン効果との違いは、「多数派への同調」か「希少性による優越感」かという点にあります。バンドワゴン効果では、人気の高さや利用者数の多さが信頼につながりますが、ヴェブレン効果では、他人とは違う高級な選択をすることで自分の価値を引き上げようとします。

バンドワゴン効果の具体例

バンドワゴン効果は、商品やサービスに対する「多数の支持」が、新たな支持を呼び込む心理メカニズムです。

マーケティングの現場では、さまざまな媒体や場面でこの効果が活用されています。広告・SNS・店舗・政治など、実際にバンドワゴン効果が応用されている例を紹介します。

広告やLPサイト

広告やランディングページ(LP)では、商品やサービスの魅力を訴求するだけでなく、どのように伝えるかが重要になります。バンドワゴン効果を狙う場合、「みんなが選んでいる」「多くの人に支持されている」といった、他のユーザーの行動を可視化する文言が有効です。

たとえば、「累計販売数10万本突破」「顧客満足度No.1」「プロも愛用」といった表現は、多くの人がすでに価値を感じていることを示すものであり、それを見た消費者も「自分も選ぶべきかもしれない」と感じやすくなります。

このような“社会的証明”を示すことで、初めて見る商品にも安心感や信頼感を抱かせ、購買意欲を後押しする効果が期待できます。

SNS

SNSの世界では、バンドワゴン効果が日常的に見られます。特にInstagramやX(旧Twitter)では、「フォロワー数が多い」「いいねがたくさんついている」といった数値が“人気”の指標として作用し、多くの人がそのアカウントや投稿に注目する傾向があります。

インフルエンサーによる商品の紹介も典型例です。「この人が紹介しているなら、よいものに違いない」と感じさせることで、商品の信頼性や魅力が増幅され、購買行動へとつながっていきます。

また、共感を得た投稿にはさらに「いいね」が集まりやすくなるなど、プラットフォームそのものがバンドワゴン効果を促進する仕組みを持っているともいえるでしょう。

店頭POP

実店舗でも、バンドワゴン効果を取り入れた販促は多く見られます。書店では「週間ベストセラー」や「話題の本」といったランキング表示が代表的で、読者に「今、読まれている本」「みんなが手に取っている本」という印象を与えます。

さらに、売り場の目立つ位置に平積みされている商品や、スタッフのコメントが添えられたPOPなども有効です。「人気」「おすすめ」「売れ筋」といったキーワードが並ぶだけで、まだ購入を迷っている人の背中を押す効果が期待できます。

選挙活動

政治の場面でも、バンドワゴン効果は利用されることがあります。たとえば、選挙期間中に「〇〇候補が有利」と報道されると、浮動票を持つ有権者がその候補に票を投じやすくなるという現象があります。

これは「支持が集まっている=信頼されている」という印象を生み出し、さらに支持を広げるきっかけになるためです。

街頭演説で多くの人が立ち止まっている様子を見て、「何か重要な話をしているのでは」と関心を抱くのも同じ心理です。聴衆の数が関心の高さを示すバロメーターとなり、新たな支持層を引き込む助けになります。

バンドワゴン効果をマーケティングに応用する際の注意点

バンドワゴン効果は、「多くの人が支持している」という情報を提示することで、さらに新たな支持や購入を促す強力な心理効果です。しかし、その活用には慎重さも求められます。特に広告やLP(ランディングページ)では、信頼性を損なわない表現であることが重要です。

たとえば、「人気No.1」「満足度No.1」などの表現は、消費者の注目を集めやすい反面、根拠が曖昧であればかえって不信感を抱かれる可能性があります。

主観的なデータや、自社に有利な条件だけを切り取った調査結果を使ってそのような表現をしてしまうと、景品表示法などの法令に抵触するおそれもあるでしょう。

こうしたリスクを避けるためには、表示の根拠となる調査を中立的な第三者機関に依頼する、調査方法を明示する、データの取得時期を併記するなど、透明性のある情報提供を心がけることが大切です。

誇張表現よりも、実績や事実を丁寧に伝えることで、バンドワゴン効果を活かしつつ長期的な信頼の構築にもつながります。

まとめ

バンドワゴン効果は、「多くの人が選んでいる=信頼できる」という心理を利用して、商品やサービスへの関心や購入意欲を高める有効な手法です。広告やSNS、実店舗の販促活動など、あらゆるタッチポイントで活用できるため、マーケティング戦略に取り入れる価値は十分にあります。

ただし、過度に人気を強調した表現や根拠のないデータを使った訴求は、かえって信頼を損なうリスクがあります。バンドワゴン効果をマーケティングに活用する際は、データの出典を明示するなど、誠実で透明性のある情報提供を心がけることが重要です。

多数派の支持を伝えることで、ユーザーの安心感と購買意欲を引き出すことができれば、長期的な信頼構築にもつながっていくでしょう。

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