みなさまのスマートフォンには、きっとたくさんのアプリがインストールされていることでしょう。日々の生活や仕事を便利にしてくれるアプリですが、実際にこうしたアプリを開発するには、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?
今回は、初めての方でも利用できるアプリ開発ツールを、利用費用とあわせてご紹介します。
アプリ開発費用を決める要素の内訳
一般に、アプリ開発にかかる費用の内訳はシンプルで、以下の計算式で表せます。
アプリ開発費用=人件費+諸経費
※人件費は「人月×人月単価×開発にかかる期間」で算出
アプリ開発にかかる費用は人件費が占める割合が高く、そのほかに諸経費も必要です。
人件費は、開発に必要な人数・それぞれの報酬金額・かかった期間を乗算して算出します。諸経費は、開発に必要な設備代やツール代などを含んだ費用です。
ここでは、開発にかかる期間や人月単価、諸経費について詳しく解説します。
開発にかかる期間
アプリは大きく以下の3つの種類に分類でき、開発にかかる期間がそれぞれ異なります。
- ネイティブアプリ:iPhone・AndroidなどのOSにダウンロードして使う
- Webアプリ:Webブラウザ上で使う
- ハイブリッドアプリ:ネイティブアプリとWebアプリの性質を持つ
ネイティブアプリは、OSにあわせた仕様で開発する必要があるため期間が長くかかり、Webアプリは比較的短期間で開発できる傾向にあります。そのため、ネイティブアプリの方が開発費用が高くなりがちです。
アプリの内容によっても開発費用には差が出ます。複雑で多機能な場合はハイスキルなエンジニアに依頼することが多く、開発にも時間がかかります。シンプルな機能のアプリであれば、短期間で開発できる場合が多く、人員も少人数ですむため開発費用を抑えられるでしょう。
人月単価
人月単価とは、1人のエンジニアが1カ月(一般に1日8時間×20日)稼働した場合に要する報酬です。たとえば、人月単価100万円のエンジニアが1カ月働いた場合には、100万円の報酬を支払います。
人月単価の金額は、主に以下の要素が影響し変動します。
- スキル
- 経験年数
- 所属する企業の規模
- 需要の高い言語
- 担当する工程
- 地域
たとえば、経験や実績が豊富で高いスキルを持ち、全工程を統括するプロジェクトマネージャーは、開発や設計だけを担うエンジニアに比べて人月単価が高額です。また、需要の高い開発言語での開発案件は人月単価が高くなる傾向にあります。
人月単価は地域により変動する傾向もあり、首都圏は高価、地方は安価の傾向です。
開発以外にかかる諸経費
開発以外にかかる主な費用をまとめました。
サーバー代は、高機能なアプリほど高くなる傾向にあります。また、ソフトウェアによっては定期的にライセンス費用の支払いが必要です。
開発したアプリをApple StoreやGoogle playストアで公開するためには、Apple developer ProgramとGoogle Play developerへの登録が欠かせません。定期的にアップデートがおこなわれるため、最新版でアプリが問題なく動くか確認し、場合によっては改善する必要があり、その費用もかかります。
クラウド事業者のサーバー上で開発する場合は、サービス利用料も発生します。
アプリ開発費用のシミュレーション方法
アプリの開発費用は、開発期間や人員によって大きく左右されます。いくらかかるか正確にだすことは難しいため、アプリ開発会社に見積もりを依頼するとよいでしょう。
ただし、必要な人員や期間はエンジニア個人の技術力にもゆだねられるため、同じアプリ開発でも依頼先によって費用に大きな差が出ることはめずらしくありません。事前に、複数の開発会社に見積もりを依頼しましょう。
近年では、ネットでアプリ開発をシミュレーションができるサイトもあり、開発会社に相談する前に費用感を把握することが可能です。開発会社に相談する前におおよその費用を把握しておきたい場合は、シミュレーションしてみるとよいでしょう。
アプリ開発費見積もりシミュレーター:https://www.creativevillage.ne.jp/mitsumori/
アプリ開発の種類・開発方法別の費用相場
アプリ開発の費用は、さまざまな要因で変動します。たとえば、ゲームアプリや学習アプリといったアプリの種類や、スクラッチ開発やパッケージ開発といった開発手法などです。
ここでは、アプリの種類別・開発方法別におよその費用相場を紹介します。ただし、金額の決定にはほかの要因も絡むため、あくまで目安としてとらえてください。
種類別の費用相場
以下に、アプリの種類別に費用の相場をまとめました。
出典:SPDLOAD「How Much Does It Cost to Build an App in 2025 (Full Breakdown) 」(2025年6月時点)
アプリといっても、種類によって費用には大きな差が出ることが表から見てとれます。こうした差が出る理由は、アプリの内容や搭載する機能、仕様によって必要なスキルやかかる時間が異なるためです。
たとえば、同じゲームアプリでも、シンプルな2Dゲームなら費用を抑えられる一方、複雑な設計を求められる3Dゲームでは高額な費用がかかります。
そのため、アプリ開発費用を「このアプリはいくら」と明確に述べることは難しく、上記のように幅があります。
開発方法別の費用相場
アプリ開発の方法にはさまざまなものがあります。ここでは、大きくスクラッチ型とパッケージ型に分けて費用を解説しましょう。
(出典:iRidge「アプリ開発費用はどれくらい?維持費等の内訳や費用を抑えるコツを解説【2024年最新】」)(2025年6月時点)
スクラッチ型はオーダーメイドのため、独自の機能を搭載したり、トレンドにあわせてデザインを変更したりすることも可能です。ただし、基本的にコストがかかり、開発が長期化すれば費用が数千万円に及ぶこともありえます。
パッケージ型は、すでにベースがあるため安価でスピーディに開発できる点が大きな魅力です。一方で、機能面で物足りなさを感じる可能性もあります。
ノーコード・ローコードツールという選択肢を追加しよう
近年、プログラミングの知識がなくてもアプリを制作できるノーコード/ローコードツールという概念や言葉を耳にしたことはないでしょうか。
これを活用すると、従来のスクラッチ開発に比べて以下のようなメリットがあります。
- 開発工数を大幅に削減できる
テンプレートやビジュアルエディタを使うことで、画面構成や操作フローを直感的に設計でき、設計〜実装の時間を短縮できます。 - 専門人材への依頼コストを抑えられる
コーディング作業が減るため、エンジニアを多数アサインする必要が薄くなり、人月コストを抑制できます。 - 運用・改修対応が容易
ユーザーインターフェースの追加や文言変更など、軽微な変更を自社で対応できるケースが多いです。
ただし、ノーコード/ローコードには以下のような注意点もあります:
- カスタマイズの自由度に限界がある
複雑なロジックや独自仕様を入れたい場合は、どうしてもカスタム実装やスクラッチに戻るフェーズが発生しうる。 - ツールの制約による機能限界やコスト
利用プランによっては、利用可能な機能が制限されたり、月額課金や従量課金が発生したりします。 - パフォーマンスや拡張性の課題
大規模ユーザー対応や高速レスポンスが求められる場合は、ノーコードで十分なパフォーマンスが出ないケースもあります。
アプリ開発の主な機能・費用
みなさまが開発したいアプリはいくら費用がかかるのか、ここでは機能別にかかる費用を解説します。アプリ開発は、機能が豊富になればなるほど費用がかかることを念頭に置いておきましょう。
iOS/Android
iOSアプリもAndroidアプリもそれぞれの開発費用相場は約100〜200万円です。iOSアプリとAndroidアプリの双方に対応させる場合は基本的に倍の費用がかかります。
iPhoneやAndroid端末でアプリを見るとほとんど同じに見えますが、開発ではプログラミング言語が異なるため、相応の費用がかかります。
ログイン機能・連携
顧客ごとにアカウントがありログイン機能が必要であれば、追加費用は10~50万円ほどです。ただしログイン機能には2種類あり、SNSアカウントを使う方法とメールアドレスを使う方法があります。
メールアドレスを使う場合は、自社で個人情報の管理が必要です。そのため、セキュリティを強化する必要があり、費用が高くなる傾向にあります。少しでも開発費用を抑えたい場合はSNSアカウントの利用によるログインとすることで費用を10~25万円程度に抑えることが可能です。
決済システムの有無
近年はスマホ決済が定着しました。アプリに決済システムを実装するには追加で20~50万円ほどの費用がかかります。店舗での決済だけでなく、ゲーム内での課金も決済システムのひとつとなるため注意してください。
デザインの作成
アプリ開発における「デザイン」は、ユーザーの目に入る部分の画面構成や色づかい、ボタンの形といった見た目だけを指すわけではありません。操作感や使いやすさ、階層構造、機能といった全体の設計も含みます。
デザインの作成には、デザイナーだけでなく、構想を採用するかどうか決めて実際の設計に落とし込むエンジニアなど、多くの人員が必要です。
また、アプリの仕様や内容によっては、豊富な経験を持つデザイナーが求められます。そのため、デザインの作成にはまとまった費用が必要です。
デザイン資料を自社で用意するのか、すべて開発会社にお任せするのかで、費用には大きな差が出ます。10万円程度で済む場合もあれば、100万円程度かかる場合もあるでしょう。
他社ツールの導入
アプリ開発では、他社ツールと連携することで、ユーザーの利便性を高められます。以下の表に、導入・連携できる主な他社ツールをまとめました。
出典:Google Maps Platform「Google Maps Platform コアサービスの料金リスト」(2025年6月時点)
出典:stripe「あらゆる規模のビジネスに対応する料金体系」(2025年6月時点)
出典:Firebase「料金プラン」(2025年6月時点)
他社ツールには、上記以外にもユーザーの行動を分析するアクセス解析ツールやデータを保存するクラウドストレージなど、さまざまなものがあります。
ユーザーの利便性を高めるため、他社ツールの導入・実装は取るべき選択肢のひとつといえるでしょう。とはいえ、ツールごとに費用がかかるため、開発するアプリの目的を考え、本当に必要な機能を選ぶことが大切です。
見落とし注意!アプリの開発以外でかかる費用
アプリを開発する際は、人件費以外にもさまざまな諸経費が発生します。初心者が月額でツールを利用する際、諸経費のほどんどはプランに含まれていることが一般的です。
とはいえ、アプリ開発では何にどのくらいの費用がかかるのか知っておくと、参考になるでしょう。ここでは、おもな費用とそれぞれの費用について説明します。
運用・保守費用
運用を続けるにも、費用がかかります。たとえば、バグの修正やセキュリティチェックなどです。もし、アプリの運用から保守までを外注するとなると、開発費用のうちの15%程度は運用・保守にかかると想定しておきましょう。
サーバー費用
アプリの開発中だけでなく、開発後でも必要なのがサーバー費用です。サーバーとは、いわゆる『データの保管場所』。開発段階から運用中でも、レンタルサーバーの費用が必要になります。
1番安いものだと月額1,000円程度。高いものだと20,000円程度になるでしょう。セキュリティやサポートの充実さを重視する場合は、数万程度で運用する方が多いようです。
SSL証明書費用
SSL証明書とは、サーバーおよびアプリの通信を暗号化するためのもの。アプリを安全運用にはセキュリティが必要です。費用相場は年間でおよそ3000円~10万円ほどになりますが、高度なセキュリティを確保するためには、さらに費用を要します。
アカウント登録費用
アプリを拡散するためには、アカウントが必要です。たとえば、そのアカウントを取得するためのアカウント登録費用がかかります。
アプリ開発の費用を抑える方法3選
アプリの制作費用以外にも、さまざまな初期費用がかかることが分かりました。では、今後アプリを制作するにあたり、費用面で失敗しないためにはどんな対策をとったらよいのでしょうか?ここでは、アプリの制作費用をできるだけ抑える方法を紹介します。
アプリ開発には一定のコストがかかりますが、以下の点を意識することで費用を抑えることが可能です。
- 自社でできることは担当する
- ノーコード/ローコードでコストと工数を抑える
- レベニューシェアを利用してみる
それぞれ具体的に解説します。
1. 自社でできることは担当する
従来どおり、デザインや機能要件の設計を自社で固めるのに加えて、ノーコードツールを活用することで設計〜実装フェーズの一部を内製化できます。
STORES ブランドアプリ などのノーコードプラットフォームを選ぶと、自社でテンプレートを編集するだけでアプリを構築できるため、コストの大幅な削減効果が期待できます。
2. ノーコード/ローコードでコストと工数を抑える
これが新たな選択肢です。従来型のスクラッチ開発だけでなく、ノーコードプラットフォームを使うことでパッケージ型以上に手軽にアプリを持てる可能性があります。
特に、機能がある程度標準化できる分野(会員証、プッシュ通知、クーポン配信など)では、ノーコードによって費用と時間の双方を節約できます。
ただし注意点として、将来的な拡張性や複雑な仕様の実装には、スクラッチ的な対応が必要になる可能性を事前に見据えておきましょう。
3. レベニューシェアを利用してみる
レベニューシェアとは、アプリの開発費用を下げてもらう代わりに収益の一部を分配する契約方式です。
たとえば、通常ならアプリの開発費用に500万円かかるとしましょう。それを、開発会社への利益分配を条件に、たとえば250万円にしてもらうことをレベニューシェアといいます。
どれくらいの収益を分配するかはケースバイケースですが、売上の10~30%を開発会社に渡すケースが一般的です。
レベニューシェアには、以下のようなメリットがあります。
- 開発の初期費用を大幅に抑えられる
- 売上が伸びないときは支払う額も少なくて済む
ただし、収益化が難しそうなアプリは、開発会社にレベニューシェアを断られる可能性があります。また、アプリが想定よりヒットすると長期的に見て割高になる恐れがある点も、事前に理解しておきましょう。
【まとめ】選択肢を広げて賢くアプリ導入を検討しよう
アプリ開発には必ずしも「高額なスクラッチ開発」だけが選択肢ではありません。
- パッケージ型開発
- ノーコード/ローコード型
- フルスクラッチ型
の中から、目的・予算・拡張性を勘案して選ぶのが現代的なアプローチです。
その中で、STORES ブランドアプリ は、ノーコード型アプリ導入の入口として非常に有力な選択肢です。
テンプレート利用・顧客情報の一元化・運用性・日本語サポートなどの点でバランスがよく、アプリ導入を検討する事業者にとって導入のハードルをぐっと下げてくれます。
加えて、店舗とネットショップをつなぐオムニチャネルプラットフォームとしても有効になります。
まずはノーコード/ローコードツールの可能性を押さえつつ、STORES ブランドアプリの機能や実績も視野に入れて、あなたのビジネスに最適なアプリ導入戦略を検討してみてください。


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